クラリネットソナタ第1番・第2番

老いて創作意欲を失いかけた晩年のブラームスを救った出会い

『クラリネットソナタ第1番ヘ短調』および『クラリネットソナタ第2番変ホ長調』は、ブラームスが晩年の1894年に続けて作曲した2曲の室内楽曲。作曲者自信の編曲によるヴィオラ版も演奏機会が多い。

晩年のブラームスは、老いによる演奏技術の衰えなどから創作意欲を完全に失いかけていた。57歳を迎えた1890年頃には、作曲を断念しようと決心して遺書を用意し、手稿を整理し始めていたという。

そんなブラームスを失意の底から救ったのが、ドイツ・マイニンゲン宮廷楽団の首席クラリネット奏者リヒャルト・ミュールフェルト(Richard Mühlfeld/1856–1907)による演奏との出会いである(写真:現在のマイニンゲン宮廷劇場)。

ブラームスは、ミュールフェルトによるウェーバー『クラリネット協奏曲 第1番』やモーツァルト『クラリネット五重奏曲』などの演奏を聴いて、その高い演奏技巧や特色ある音色に感銘を受けた。

二人はすぐに顔馴染みとなり、創作意欲を取り戻したブラームスはミュールフェルトのために、『クラリネットとチェロ、ピアノのための三重奏曲 イ短調』作品114、『クラリネット五重奏曲 ロ短調』作品115を、1891年の夏に一気に書き上げている。

そして1894年には、ミュールフェルトのために『クラリネットソナタ第1番ヘ短調』、および『クラリネットソナタ第2番変ホ長調』の2曲を続けて作曲。二人は1895年の初めまでに総計20回の演奏会で同曲を演奏している。

【試聴】クラリネットソナタ第1番ヘ短調 Op. 120-1 第1楽章

【試聴】 クラリネットソナタ第2番変ホ長調 Op. 120-2 第1楽章

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