All You Need Is Love 歌詞の意味・和訳・解釈

ヒッピー隆盛期の1967年夏にリリースされたジョン・レノンの楽曲

『All You Need Is Love』(オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ)は、ヒッピー隆盛期の1967年7月にリリースされたビートルズのシングル。邦題『愛こそはすべて』。

名義は「レノン=マッカートニー」だが、実質的にはジョン・レノンの作曲による。

1967年のアメリカはベトナム戦争中であり、ヒッピーと呼ばれる若者たちによって、旧来の価値観や規範に対抗するカウンターカルチャー運動が隆盛を極めていた。

『All You Need Is Love』は、1967年7月の英米シングルチャートで1位を獲得。アメリカでヒッピー運動が社会現象を巻き起こしていた1967年夏を象徴する若者たちのアンセムとなった。

THE BEATLES 青盤 1967-1970

ジャケット写真:THE BEATLES 1967 - 1970

さて、『All You Need Is Love』の歌詞では、二重否定や二重限定など、若干分かりにくい英文法が用いられており、その意味について解釈が分かれている。

このページでは、『All You Need Is Love』の歌詞について、ネットで確認できた様々な解釈・和訳を一覧にまとめるとともに、二重否定や二重限定などの英文法を簡単に解説をした上で、一体どの解釈が当時の時代の空気に合っているのか、筆者の私見を述べてみたい。

【YouTube】 All You Need Is Love (Remastered 2009)

歌詞1行目の解釈

『All You Need Is Love』の歌詞は、文法的に同じような構造が繰り返し用いられているため、(冒頭のコーラスを除いた)最初の1行目をどう解釈するかによって、その後に続く歌詞全体の解釈もそれに合せて決まっていくように思われる。

すなわち、最初の1行目をどう和訳するかが大きな運命の分かれ道になる。『All You Need Is Love』冒頭の歌詞を次のとおり引用する。

There's nothing you can do that can't be done.

ネットで『All You Need Is Love』の和訳を検索してみると、この1行目からすでに多くのサイトで様々な解釈・ニュアンスの違いが見られる。

このページでは、大きく分けて、「できないことは できないよ」説、「やれることは やれるんだよ」説の二つに分類してまとめてみた。

解釈その1 できないよ説

『All You Need Is Love』歌詞の解釈として、日本で最も一般的で多数派だと思われるのが、この「できないことは できないよ」説。

Google検索で上位に表示された複数の和訳サイトから、歌詞冒頭の和訳を次のとおり引用してまとめてみた。

・できないことは できない

・できないことは 何もできない

・できないことは 誰にもできない

・思ってもみなかったことしようとしても無理さ

・君にしかできないことなんてないんだ

・君ができないことは 誰もできない

・君ができないことは もともとできないことなんだよ

・どうしようもなかったことは どうしようもない

・出来ないことをやろうとしても 仕方がない

・この世には、君がやれることで、成し遂げられるようなことは、何もない

これらはニュアンスの違いはあるが、ほぼ結論としては「できない、無理だ」という方向での和訳となっている。

この「できない」説は、『All You Need Is Love』のレコードやCDの歌詞カードに掲載された和訳も同様の意味合いだったため、多くの和訳サイトもこの流れを汲んだものと推測される。

解釈その2 できるよ説

上述の「できない」説に対して、ビートルズ研究家の本多康宏氏は、衛星放送「BS11」のテレビ番組「大人の自由時間 ビートルズ研究所」出演中に、次のような趣旨の説明を行った。

全く逆だ。私たちにはできないことはない。それをするために必要なのは愛だ。君に足りないのは愛だ。そう言っている。英米の人たちに日本人があのようにとらえていたことを言ったら笑われた。

これは上述の「できない」説とは真逆の解釈で、「できないことはない」、「できるんだよ」と肯定的な意味合いで歌詞を捉える説となる。

ネットで検索すると、この「できるよ」説と同じ方向性の意味合いで解釈している和訳サイトも少なからず確認できた。その例を次のとおり引用する。

・君にやれることで 実現不可能なことはない

・君にできることで 出来ないことはない

・きみができることで、できないことなんて、何ひとつないさ

細かい表現の誓いこそあれど、肯定的な意味合いで歌詞を解釈している点は共通している。同じ歌詞が真逆の意味合いで解釈されるのは非常に興味深い。

この「できるよ」説については、英文法の「二重否定」と「二重限定」の組み合わせで合理的に説明できる。具体的には次のとおり。

二重否定と二重限定

英文法の「二重否定」と「二重限定」について、『All You Need Is Love』冒頭の歌詞で簡単に解説してみたい。次のとおり引用する。

There's nothing you can do that can't be done.

まずこれを次のようなシンプルな形にする。

There's nothing.

これだけだと、「何もない」という和訳になる。これだけでは無制限に対象が広がってしまうので、範囲を限定(制限)してみると、次のとおり。

There's nothing that can't be done.

こうすると、「nothing」の内容が限定されて、「できないことは何も無い」という意味になる。

この例では、一回「限定」を行っていると同時に、「否定の否定」つまり「二重否定」にもなっている。

しかし、これだとあまりに大きな話になってしまうので、対象範囲についてもう一回「限定」を行うとしたら、次のような文章になる。

There's nothing (that) you can do that can't be done.

ここでは「~ that you can do」(あなたができる~の中で)という限定を追加することによって、「nothing」の内容が二重に限定されている。これが「二重限定(二重制限)」の構造となる。

no thingとして解釈

さらに、「nothing」を実質的に「no thing」として解釈する。二重限定の場合、先行詞(ここでは「nothing」)に近い関係代名詞の節から順番に解釈されるという英文法上のルールがあるので、この文章は次のように和訳されることになる。

There's no thing (that) you can do that can't be done.

君にできることで 出来ないことはない

ここでは、「There's no」の「no」は「thing」以降全体に掛かることになり、「君にできることで 出来ないこと」は無いんだという意味合いになる。

ただ、この訳だけを見てしまうと、日本語的に当たり前のことを同じ文章の前後で繰り返しているだけのような無意味な文章のように感じられるため、次のように、ある程度言葉を補う必要がある。

ヒッピー隆盛期における意訳

『All You Need Is Love』がリリースされたヒッピー隆盛期の1967年7月当時の時代的背景を考慮して、上述の二重限定による和訳を筆者の私見で日本語を補って意訳すると、次のようになる。

本当は君がやろうと思えば実行できることなのに、古い常識や道徳、規範、価値観、社会のルールによってやってはいけないとされる事があるが、やってはいけないことなんて何もないんだ。

ここでの「やってはいけないとされる事」とは何だろうか?具体例を挙げてみよう。

例えば、とても気分が良くなる何らかの植物や薬的な物があるとして、それは簡単に手に入り、それを口にすることも簡単にできるが、既存社会のルールとしてそれが禁止されている場合、この意訳に当てはまることになるだろう。

また、例えば、異性同性未婚など問わず自由に交渉を持ちたいと思う人がいるとして、双方の合意があり、それを実行することも簡単にできるが、伝統的な道徳や価値観から、それらの行為が事実上禁止されている場合なども、この意訳が該当すると思われる。

『All You Need Is Love』がリリースされた1967年7月当時は、上述のとおり、ヒッピーと呼ばれる若者たちによって、旧来の価値観や規範に対抗するカウンターカルチャー(対抗文化)運動が隆盛を極めており、これらの「薬的な物」や「自由な交渉」は良くも悪くも、既存社会への対抗文化の象徴となっていた。

『All You Need Is Love』の歌詞は、こうした「本当はやろうと思えば実行できるのに、古い社会が禁止していること」について、

「そんなものは無いんだ。僕らは自由なんだ。僕らを縛りつける古い社会やルールなんて僕らに必要ない。必要なのは愛なんだ」

といったように、当時の若者らに向けて贈られた肯定的・ポジディブなメッセージ・ソングとして解釈できるのではないだろうか。

注:ネイティブでも解釈が分かれる

二重限定の解釈はあくまでも仮定であり、これ以外にも様々な解釈が成り立ちうる。海外のサイトを見ると、英語を母国語とするネイティブ・スピーカーでも解釈が分かれている。

このページの解釈も、あくまでも仮説の一つであり、異なる解釈が可能であることの一例にすぎない。

次に示す歌詞全体の和訳では、解釈が分かれる箇所で異なる和訳を併記しておくこととしたい。

歌詞の意味・和訳(意訳)

『All You Need Is Love』

作詞・作曲:Lennon–McCartney

Love, love, love
Love, love, love
Love, love, love

ラヴ ラヴ ラヴ…

There’s nothing you can do that can’t be done
Nothing you can sing that can’t be sung

<和訳1>

できないことは できない
歌えない歌は 歌えない

<和訳2>

できることなのに
やれないことなんてない

歌を歌えるのに
歌えないことなんてない

Nothing you can say
But you can learn how to play the game
It’s easy

言えることがなくても
ゲームの仕方は学べる
簡単さ

Nothing you can make that can’t be made
No one you can save that can’t be saved

<和訳1>

作れないものは 作れない
守れないものは 守れない

<和訳2>

君が作れるのに
作れないものなんてない

君が守れるのに
守れないものなんてない

Nothing you can do
But you can learn how to be you in time
It’s easy

できることがなくても
自分らしくいられる方法は学べる
簡単さ

All you need is love
All you need is love
All you need is love, love
Love is all you need

All you need is love
All you need is love, love
Love is all you need

必要なものは愛だけさ
愛こそ君が必要なすべてさ

There’s nothing you can know that isn’t known
Nothing you can see that isn’t shown

<和訳1>

分からないことは 分からない
見えないものは 見えない

<和訳2>

君が分かるのに
分からないままな事なんてない

君が見れるのに
見えないままな事なんてない

There’s nowhere you can be
That isn’t where you’re meant to be

It’s easy

君が居ては行けない場所なんて無いんだ
簡単さ

All you need is love
All you need is love
All you need is love, love
Love is all you need

All you need is love
(All together now)
All you need is love
(Everybody)
All you need is love, love
Love is all you need
Love is all you need...

必要なものは愛だけさ
愛こそ君が必要なすべてさ

必要なものは愛だけさ
(さあみんな一緒に)
必要なものは愛だけさ
(みんなで)
必要なものは愛だけさ

愛こそ君が必要なすべてさ

関連ページ

レット・イット・ビー Let It Be
ポール・マッカートニーの亡き母メアリーが夢枕に現れ残した言葉
ヘイ・ジュード Hey Jude
当時5歳のジュリアン・レノンを慰めるために書かれたバラード
イエスタデイ Yesterday
マッカートニーが14歳の時に死去した母への想いを綴ったバラード
イマジン Imagine
オノ・ヨーコの詩集にヒントを得たジョン・レノンの代表曲
オブラディ・オブラダ Ob-La-Di, Ob-La-Da
ジャマイカの音楽スカに影響を受けたポール・マッカートニーの楽曲
ビートルズ The Beatles 歌詞の意味・和訳
20世紀音楽を代表するビートルズの代表曲 歌詞の和訳・曲の解説
洋楽・ポピュラーソング 歌詞の意味・和訳
海外のアーティストによる比較的近年の名曲 歌詞の意味・和訳