Take It Easy 歌詞の意味・和訳 イーグルス

日本のテレビ番組オープニングでも使われたイーグルスのデビューシングル

『Take It Easy』(テイク・イット・イージー)は、イーグルス(Eagles)が1972年に発表したデビューシングル

50年以上前の楽曲ではあるが、日本では2003年から2010年まで、日曜日のゴールデンタイムに放送されていた人気テレビ番組「田舎に泊まろう!」オープニングテーマ曲として使用されていたため、幅広い世代に知名度が高い楽曲となっている。

イーグルス ベスト盤

ジャケット写真:イーグルス ベスト盤

歌詞では、アリゾナ州ウィンズロー(Winslow)の街角が登場するが、イーグルス『Take It Easy』による知名度向上を記念して、1999年にウィンズロー市が「Standin' on the Corner Park」(スタンディング・オン・ザ・コーナー・パーク)という名前の公園を設立した。

アリゾナ州ウィンズローにある『Take It Easy』像

写真:アリゾナ州ウィンズローにある『Take It Easy』像(出典:Wikipedia)

銅像の近くには、『Take It Easy』の歌詞に登場する女の子が乗っていたフォードのトラックも展示されている(下写真)。

公園内に展示されているフォードのトラック

写真:公園内に展示されているフォードのトラック(出典:Wikipedia)

ウィキペディアによれば、『Take It Easy』を共作したジャクソン・ブラウン(Jackson Browne)は、かつてアリゾナ州ウィンズローの町で車が故障し、車が治るまでしばらくこの町にとどまっていた時期があったという。

【YouTube】Eagles - Take It Easy

歌詞の意味・和訳(意訳)

『Take It Easy』

作詞・作曲:グレン・フライ(Glenn Lewis Frey)、ジャクソン・ブラウン(Jackson Browne)

Well, I'm a-running down the road
Tryin' to loosen my load
I've got seven women on my mind

俺はこの道を走ってる
肩の荷を軽くしたくて
思い浮かべていた 7人の女たちを

Four that wanna own me
Two that wanna stone me
One says she's a friend of mine

4人は俺を自分のものにしたがり
2人は俺を酔わせたがる
残る1人は「私の友達」と言う

<注:「7人の女」の意味については後述する>

Take it easy, take it easy
Don't let the sound
Of your own wheels drive you crazy

気楽に行こう 気楽に
自分の車輪がたてる音に
心を乱されるな

Lighten up while you still can
Don't even try to understand
Just find a place to make your stand
And take it easy

肩の力を抜いて まだいけるさ
頭で理解しようとするな
自分の居場所を見つければいい
気楽に行こう

Well, I'm a-standing on a corner
In Winslow, Arizona
Such a fine sight to see

俺は街角に立ってる
アリゾナのウィンズロー
素晴らしい景色なんだ

It's a girl, my Lord
In a flat-bed Ford
Slowin' down to take a look at me

それは女の子だった 主よ
フォードのトラックに乗ってた
俺を見てスピードを落としたんだ

Come on, baby
Don't say "Maybe"
I gotta know
If your sweet love is gonna save me

なあベイビー
「たぶんね」なんて言わないでくれ
俺は知りたいんだ
君の優しい愛が俺を救ってくれるのかを

We may lose and we may win
Though we will never be here again
So open up, I'm climbin' in
So take it easy

俺たちが上手くいくか分からない
けどここで出会うことは二度とない
さあドアを開けて 乗り込むから
気楽に行こうぜ

Well, I'm running down the road
Trying to loosen my load
Got a world of trouble on my mind

俺はこの道を走ってる
肩の荷を軽くしたくて
心に悩みを抱えながら

Lookin' for a lover
Who won't blow my cover
She's so hard to find

探してる恋人は
俺を詮索しない子
見つけるのはとても難しい

Take it easy, take it easy
Don't let the sound
Of your own wheels make you crazy

気楽に行こう 気楽に
自分の車輪がたてる音に
心を乱されるな

Come on, baby
Don't say "Maybe"
I gotta know
If your sweet love is gonna save me

なあベイビー
「たぶんね」なんて言わないでくれ
俺は知りたいんだ
君の優しい愛が俺を救ってくれるのかを

Oh we got it easy
We oughta take it easy

ああ 僕らは気楽に
気楽に行こうぜ

7人の女とは?隠れた意味について

『Take It Easy』の歌詞では、主人公の男性が「seven women(7人の女たち)」を思い浮かべる描写が登場する。

なんと4人の女性から「自分のものにしたい」と思われているというモテっぷり。2人の女性は酔わせて何をしようとしているのか。

歌詞の冒頭から唐突にモテ自慢が始まっているが、歌詞の英語を文字通りに訳せば、こんな印象の内容になってしまう。

確かに、これはこれで意味が通っているので、この直訳でも特段問題は生じないのだが、この「7人の女たち」に少なからず違和感を覚える「勘のいい方」も少なくないと思われる。

「7人の女たち」とは一体どんな意味があるのだろうか?

この点について、筆者はまったく別の解釈が可能と考えている。簡単に説明していきたい。

聖書と数字の「7」

英米圏のポピュラーソングの歌詞では、キリスト教に関連する表現や暗喩が用いられることがよくあるが、筆者の私見では、『Take It Easy』の歌詞についても少なからずキリスト教的な要素があるように思われる。

キリスト教の聖書では、「7人の女たち」のような数字の「7」がよく見られる。

旧約聖書『創世記』では、神が6日間で天地創造を行い、7日目に安息したとある。これは一週間が7日である由来となっている。

新約聖書『ヨハネの黙示録』では、七つの封印、七人の天使のラッパ、七つの災いなど、「7」という数字がこれでもかというぐらい繰り返し登場する。

一週間の擬人化?

さて、『Take It Easy』の歌詞における「7人の女たち」は、キリスト教との関連でどのような意味合いに解釈できるだろうか?

思うに、筆者の私見では、この歌詞での数字の「7」は、月曜日から日曜日までの7日間、つまり一週間を表す数字であり、「7人の女たち」は各曜日を擬人化した暗喩であると考えられる。

最初の4人の女性は、月曜日から木曜日までを表していると解釈できる。会社などで働く従業員たちは、会社を所有するオーナー(owner)から雇われて、オーナーの支配下で労働力を提供する。

次の2人の女性は、金曜日と土曜日を意味していると考えられる。金曜日まで仕事を頑張った後は、金曜や土曜の夜にパーティーに参加したり、夜の街に繰り出したりして、酒を飲んで楽しく騒ぎ、来週一週間を耐え抜く英気を養う。

最後の一人は、日曜日を暗に示していると解釈できる。キリスト教圏において、日曜日は主イエスが復活した曜日であり、教会へ行き主(しゅ)をあがめる主日(しゅじつ)とされている。

新約聖書『ヨハネによる福音書』第15章第15節では、主イエスが人々を「友達」と呼んでいる記述がある。

わたしはあなたがたを友と呼んだ。わたしの父から聞いたことを皆、あなたがたに知らせたからである。

日本でも有名な讃美歌『いつくしみ深き』では、同様に「友なるイエス」として歌われている。

もう一度歌詞を見てみよう

「7人の女たち」が一週間の擬人化であると仮定したうえで、もう一度『Take It Easy』の歌詞の該当部分を見てみよう。

■月曜日から木曜日

Four that wanna own me

これは最初の4人の女性、月曜日から木曜日を擬人化していると考えられる部分。

「own(オウン)」とは、ここでは「所有する、飼う」などを意味する動詞。「own」に「er」をつけると「owner(オーナー)」になる。

月曜日から木曜日は、会社のオーナー(所有者)の手足となって働く仕事中心の生活が続く。

■金曜日と土曜日

Two that wanna stone me

次の二人は、金曜日(の夜)と土曜日を擬人化していると考えられる部分。

金曜日まで働いた後は、パーティや酒場で好きな酒を飲んで騒いで、仕事の憂さ晴らしをする。

「stone(ストーン)」は動詞で、「石を投げる」という意味もあるが、ここでは「(酒などで)酔わせる」という意味のスラングとして訳すと意味が通る。

■日曜日は教会へ

One says she's a friend of mine

最後の一人は、キリスト教徒が教会へ行く日曜日が擬人化されていると考えられる。

人生は一週間の繰り返し

「7人の女たち」が一週間を表していると仮定するとしても、一体なぜここで一週間の話が出てくるのだろうか?

思うに、人生は一週間を繰り返す生活が死ぬまで続く定めであり、『Take It Easy』の歌詞では、一週間が人生の縮図・象徴として用いられていると考えられる。

冒頭の歌詞で、「7人の女たちを思い浮かべていた」とあるが、これは「一週間の生活を思い浮かべていた」、つまり「自分の人生や生き方について考えていた」と言い換えられるように思われる。

『Take It Easy』の歌詞全体では、長い道のりのだけど、二度とない出会いを大切にしながら、肩の力を抜いて気楽に行こう、と歌い上げているように感じられる。

「ロード」のライム

ちなみに、『Take It Easy』の歌詞では、主イエスを表す「Lord(ロード)」の発音(末尾)を意識したと思われるライム(押韻/脚韻)が印象的に用いられている。

具体的には、道路を意味する「road(ロード)」、積み荷を意味する「load(ロード)」、自動車メーカーの「ford(フォード)」の3つ。

「Lord(ロード)」も歌詞に含まれているので、これらはすべて「Lord」を起点として考えられたライムではないだろうか。

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