第三の男のテーマ(ハリーライムのテーマ)

オーストリアが舞台の映画でオーストリアの民族楽器ツィターを使用

『第三の男のテーマ』は、1949年のイギリス映画「第三の男(The Third Man)」テーマ曲。映画の主人公の名前から『ハリーライムのテーマ』とも呼ばれる。

映画「第三の男」は、第二次世界大戦後直後のウィーン(オーストリア)が舞台。

監督のキャロル・リードがオーストリアをロケで訪れた際、オーストリアの民俗楽器ツィター(チター)奏者のアントン・カラスに出会った。

カラスの巧みな演奏に感銘を受けたリードは、既にオーケストラの楽曲が用意されていたにもかかわらず、カラスのツィターを映画のBGMとして起用した。

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映画『第三の男(The Third Man)』は、光と影を効果的に用いた映像美で、戦争の影を背負った人々の姿を巧みに描く。特に、カットなしで撮影された墓地でのラストシーンは、映画史に残る名場面として有名。

1949年カンヌ国際映画祭でグランプリ、1950年のアカデミー賞では撮影賞(白黒部門)を受賞した。

日本では、『第三の男のテーマ』はヱビスビール(サッポロビール)CM曲に使われ、JR東日本の「恵比寿駅」発車メロディにも採用されている。

【YouTube】 The Third Man / 第三の男

ツィターとは?民族楽器

『第三の男のテーマ』で用いられた「ツィター/チター(Zither)」は、オーストリア、スイス、ドイツ南部などで使用される民族楽器(弦楽器)。

約30本の伴奏用弦と、ギターと同じようなフレットが付いた5~6本の旋律用の弦が張られており、これを親指につけた爪「プレクトラム」で弾く。

アルパイン・ツィター Alpine zither

写真:アルパイン・ツィター(出典:Wikipedia)

ツィターが用いられたクラシック音楽の名曲としては、ウィーンのワルツ王ことヨハン・シュトラウス2世による『ウィーンの森の物語』の冒頭と終盤で演奏されるソロパートが有名。

ウィーンのツィター奏者アントン・カラス(Anton Karas/1906-1985)は、映画「第三の男」ヒット後、1949年9月に英国王室の招待を受け、バッキンガム宮殿でツィターを演奏した。1951年には、ローマ教皇の招待を受けてバチカン宮殿で演奏している。

【YouTube】 アントン・カラス本人の演奏による『第三の男のテーマ』

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