タブサンピング Tubthumping 歌詞の意味・和訳

イングランド・チェルシーFCスタジアムBGMなどに使われたヒット曲

『Tubthumping』(タブサンピング)は、イングランド出身のアナーキーパンク・ロックバンド、チャンバワンバ(Chumbawamba)が1997年にリリースした大ヒット曲。アナーキーとは反権力・反政府の意。

同曲は、チャンバワンバのアルバム「アンイージー・リスニング」に収録されている(下ジャケット写真)。

チャンバワンバ『タブサンピング』

ジャケット写真:チャンバワンバ アルバム「アンイージー・リスニング」

歌詞の内容から、イングランドのプレミアリーグに所属するサッカークラブ、チェルシーFC(Chelsea Football Club)の本拠地スタンフォード・ブリッジ(Stamford Bridge)スタジアムでは、チェルシーが負けた試合のスタジアムBGMとして『Tubthumping』を流すことがあるようだ。

また日本では、サッカー関連のテレビ番組やニュースのサッカーコーナーなどのBGMとして同曲が使用される機会がある。サッカーゲーム関連では、エレクトニック・アーツ「FIFAワールドカップ98」オープニングテーマ曲としてライセンスされている。

【YouTube】Chumbawamba - Tubthumping

歌詞の意味・和訳(意訳)

『Tubthumping』

作詞・作曲:

I get knocked down, but I get up again
You are never gonna keep me down

I get knocked down, but I get up again
You are never gonna keep me down

I get knocked down, but I get up again
You are never gonna keep me down

I get knocked down, but I get up again
You are never gonna keep me down

打ちのめされても
また立ち上がってやる
俺を倒したままにできると思うなよ

Pissing the night away
Pissing the night away

一晩中飲み明かしながら
一晩中飲み明かしながら

He drinks a Whiskey drink
He drinks a Vodka drink
He drinks a Lager drink
He drinks a Cider drink

彼が飲むのはウィスキー
彼が飲むのはウォッカ
彼が飲むのはラガービール
彼が飲むのはシードル

He sings the songs
That remind him of the good times

He sings the songs
That remind him of the better times

彼は歌う
良き時代を思い出させる歌を

彼は歌う
良き時代を思い出させる歌を

Oh Danny Boy
Danny Boy
Danny Boy

オー ダニーボーイ
ダニーボーイ
ダニーボーイ

I get knocked down, but I get up again
You are never gonna keep me down

I get knocked down, but I get up again
You are never gonna keep me down

I get knocked down, but I get up again
You are never gonna keep me down

I get knocked down, but I get up again
You are never gonna keep me down

打ちのめされても
また立ち上がってやる
俺を倒したままにできると思うなよ

He drinks a Whiskey drink
He drinks a Vodka drink
He drinks a Lager drink
He drinks a Cider drink

彼が飲むのはウィスキー
彼が飲むのはウォッカ
彼が飲むのはラガービール
彼が飲むのはシードル

He sings the songs
That remind him of the good times

He sings the songs
That remind him of the better times

彼は歌う
良き時代を思い出させる歌を

彼は歌う
良き時代を思い出させる歌を

Don't cry for me
Next door neighbor

俺のために泣かないで
隣の家のご近所さん

I get knocked down, but I get up again
You are never gonna keep me down

I get knocked down, but I get up again
You are never gonna keep me down

I get knocked down, but I get up again
You are never gonna keep me down

I get knocked down, but I get up again
You are never gonna keep me down

打ちのめされても
また立ち上がってやる
俺を倒したままにできると思うなよ

<以下、繰り返しのため省略>

タイトル・曲名の意味は?

曲名の英語「Tubthumping」の意味は、ハイフンを入れて「tub-thumping」で「熱弁をふるう、熱心に演説・スピーチをする」といった内容。

文脈によっては「政治家が地方遊説をする」意味にも使われることがあるようだ。演壇をドンドン叩きながら熱く演説をする政治家のイメージだろう。

英単語としては、一般的には「tub(おけ、たらい、バスタブ)」、「thump(ドンドン叩く、ガンガン叩く)」といった意味合いになるが、実は「tub」には炭鉱・鉱山に関する専門用語として「鉱車、炭車、坑内トロッコ、立坑の枠桶」などの意味もあり、後述する映画「ブラス!」の内容を暗示しているようにも思われる。

チャンバワンバ 反権力のアナーキスト

チャンバワンバ(Chumbawamba)1982年にイングランドで結成されたパンク・ロックバンド。アナーキストで反権力・反政府的なスタイルを特徴とする。

音楽ジャンル的にはパンクやロックにとどまらず、イングランドの伝統的な民衆歌・大衆歌・フォークソング・トラッドも積極的に取り上げており、特に歴史的に権力や圧政に苦しみ続けてきた民衆による反権力的な歌、すなわちプロテスト・ソング、レベル・ソング(反抗歌)を彼らの重要な作品の一つに位置付けている。

その傾向が特徴的に現れた例としては、1988年にリリースされたアルバム「English Rebel Songs 1381-1914(イングリッシュ・レベル・ソングス)」。14世紀から第一次世界大戦までにおける歴史的な民衆歌・反抗歌がアカペラで収録されている。歴史的資料価値も高い。同アルバムは2003年に曲が追加され「English Rebel Songs 1381-1984」として再リリースされている

最大のヒット曲『Tubthumping』についてみると、レベル・ソングのような露骨な色合いは薄いものの、映画「ブラス!」主人公のように炭坑閉鎖で大量失職した弱い立場の鉱夫らの反骨伸精神が暗に描写されていることは想像に難くないだろう。

ちなみに、当サイトで取り上げた他の有名なプロテスト・ソングとしては、サイモン&ガーファンクル『スカボローフェア』ジョーン・バエズ『ドナドナ』ピート・シーガー『花はどこへ行った』などがある。

チャンバワンバが感銘を受けた映画「ブラス!」あらすじ

『Tubthumping』(タブサンピング)の歌詞は、実話を元にした1996年公開のイギリス映画「ブラス!」(原題:Brassed Off)から影響を受けている。

チャンバワンバのメンバーが同映画を見て感銘を受け、『Tubthumping』の着想を得たという。

舞台は1990年中盤、イングランド・ヨークシャーの炭坑町グリムリー(実話ではグライムソープ)。

映画「ブラス!」DVD

ジャケット写真:映画「ブラス!」DVD

イギリスではかつてヨークシャー、ランカシャー、ウェールズなどに600以上の炭田があり、20万人以上が従事していた。それが1980年代から90年頃にかけての相次ぐ炭鉱閉鎖により大量に失業者が発生。映画「ブラス!」の主人公たちもこうした失業寸前の炭鉱夫たちだった。

炭鉱が閉鎖に追い込まれる中、炭坑夫達がメンバーの歴史あるバンド「グリムリー・コリアリー・バンド」はコンテストに出場する。

なおこのバンドのモデルは、実在の「グライムソープ・コリアリー・バンド Grimethorpe Colliery Band」。映画のストーリーもこのバンドによる実話を元にしており、映画のサントラはすべて同バンドが演奏している(作中でも演奏者として出演)。

バンドは順調に勝ち進んだものの、炭鉱閉鎖で生活は困窮。長年の労働で肉体はボロボロ。バンド解散の危機も迫り、コンテスト出場継続が危ぶまれる中、一人の女性が立ち上がり…

ちなみに、映画のストーリーの中でアイルランド民謡『ダニーボーイ』が演奏されるのだが、チャンバワンバ『Tubthumping』で唐突に「Oh Danny Boy」が歌詞に出てくるのは、映画「ブラス!」へのオマージュの意が込められていると思われる。

また、アウトロ(曲の最後)で「トランペット・ヴォランタリー」のフレーズが用いられるのは、同映画の題材であるブラスバンドを象徴したものだろう。

曲名が意味するものとは…

ネタバレになるので詳細は割愛するが、ラストシーンで主人公のダニー(俳優はピート・ポスルスウェイト)が行ったスピーチが、チャンバワンバ『Tubthumping』アルバムバージョンの冒頭に収録されている。

コンテスト優勝という栄冠を勝ち取ったものの、炭鉱閉鎖という現実を目の前にして、苦しい胸の内を観衆に向かって訴えかけるダニーによる最後の熱弁こそが、まさに曲名の「tub-thumping(熱弁をふるう)」が意味するものだったのかもしれない。

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