ジョックロック Jock Rock

「魔曲」の異称を持つ智弁和歌山高校の応援歌

『ジョックロック（Jock Rock）』は、智弁和歌山高校の応援団により高校野球の試合で演奏される応援歌。作曲者は不明。

チャンスにこの曲がかかると智弁和歌山のアルプススタンドが火のように勢いづき、対戦相手を威圧するかのような圧倒的な迫力でスタンドの空気を一気に燃え上がらせる脅威の応援歌だ。

智弁和歌山はかつて「ミラクルエイト」と呼ばれる8回の猛打集中ビックイニングを何度か経験してきているが、その驚異の快進撃に裏にはこの曲の存在が大きいと多くのファンによって囁かれているようだ。

ジャケット写真：ブラバン!甲子園2

ミラクルエイトに限らず、『ジョックロック（Jock Rock）』が演奏されると打線に火がづき、試合の流れを完全に支配してしまうことが多い。それゆえ、この曲を「魔曲」と呼んで恐れる者も少なくないという。

なお、この『ジョックロック（Jock Rock）』は、高校野球の人気応援歌を集めた「ブラバン!甲子園2」（上ジャケット）に収録されている。

かつてトルコ周辺に栄えたオスマン帝国は、メフテルと呼ばれる軍楽隊を備え、自軍の士気向上や敵軍への威嚇のために、はるばる戦地に軍楽隊を引き連れて行った。

軍楽隊はウィーン包囲などのヨーロッパ遠征にも随行し、その威圧的なリズムによって当時の西欧人達を震え上がらせたという（トルコ軍楽『ジェッディン・デデン』）。

現代のブラスバンドに受け継がれた「戦意高揚・敵軍への威圧」というメフテルのDNAは、強豪・智弁和歌山高校の応援歌『ジョックロック』にも脈々と受け継がれているように感じられる。

自らのチームを鼓舞するだけでなく、球場全体の空気を音楽により支配し対戦相手へ精神的なプレッシャーを与える現代のトルコ軍楽『ジョックロック』。スタンドの応援団の力次第で試合の展開を左右しかねない、ある意味恐ろしい応援歌の一つと言えるだろう。