歌えバンバン(うたえバンバン)
その歌グングン広がって 誰かの心とこんにちは
「口を大きくあけまして うたってごらんアイアイアイ」が歌い出しの『歌えバンバン』は、 NHKで1970年に放送された正月特番「うたえバンバン」テーマソングとして作曲された歌謡曲。
今日では、小学校低学年向けの合唱曲(2部合唱)として音楽の授業などにも取り入れられているようだ。実際に授業で歌った思い出がある方も少なくないだろう。
作詞は、童謡『サッちゃん』、『ともだち讃歌』などで知られる阪田寛夫。作曲は、映画「男はつらいよ」テーマ曲を手がけた山本直純。
『歌えバンバン』誕生には、1960年代に人気があったミュージカルや歌謡曲の存在が少なからず影響していると思われる。まずはメロディ的な影響の観点から、ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』を簡単に振り返ってみたい。
【YouTube】歌えバンバン
サウンド・オブ・ミュージックとうたえバンバン
1959年に初演されたブロードウエイで初演されたミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック The Sound of Music」は大ヒット。
劇中歌の『ドレミのうた』は同ミュージカルを象徴する曲として人気を集め、日本では1961年にペギー葉山がカバーし、翌年にNHKの「みんなのうた」で放送された。
1965年にはジュリー・アンドリュース主演でミュージカル映画化され世界的に大ヒット。翌年の第38回アカデミー賞では、作品賞、音楽賞など5部門を受賞した。
1970年のNHK『歌えバンバン』冒頭部分のメロディおよび全体の曲想は、劇中歌『ドレミのうた』から強く影響を受けていると思われる。
「バンバン」の系譜・ルーツ
次に(若干お遊びで)、『歌えバンバン』の曲名や歌詞にある「バンバン」というフレーズについて、その系譜・ルーツを簡単にまとめてみたい(1960年代を中心に)。
Bang Bang (My Baby Shot Me Down)
1966年にアメリカの歌手・女優のシェール(Cher/1946-)がリリースしたヒット曲。タランティーノ監督の映画「キル・ビル Kill Bill」では、ナンシー・シナトラのカバー盤がサントラに使用された。
バン・バン・バン(ザ・スパイダース)
1967年10月にリリースされたザ・スパイダース7枚目のシングル曲。かまやつひろし作詞・作曲による代表曲。歌い出しは「とぼけた顔してババンバン♪」。
ドリフターズ「いい湯だな」(ババンババンバンバン♪)
1966年に男性合唱グループ・デューク・エイセスがリリースした曲を、1968年にザ・ドリフターズがデビューシングルでカバーし大ヒットした。
チキ・チキ・バン・バン(ミュージカル映画)
1968年製作のイギリスのファンタジー・ミュージカル映画。原題は「Chitty Chitty Bang Bang」(チティ・チティ・バン・バン)。
ビリー・バンバン
1969年に『白いブランコ』でキングレコードからメジャーデビューした日本のフォークデュオ。グループ名は、アメリカ西部開拓時代の英雄ビリー・ザ・キッド(Billy the Kid)と拳銃の音からヒントを得たという。
歌えバンバン
1970年のNHK正月特番テーマ曲。ここまでの「バンバン」の流れ・密度がすばらしい。
おまけ
1986年KUWATA BAND「BAN BAN BAN」(バン・バン・バン)、2013年きゃりーぱみゅぱみゅ『にんじゃりばんばん』、2015年アニメ「ポケットモンスター XY」オープニングテーマ『ゲッタバンバン』など、「バンバン」の系譜はこれからも受け継がれていくことだろう(キリがないのでこの辺で)。
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