Bring a Torch, Jeanette, Isabella
たいまつ手に手に
クリスマスキャロル/村人に伝えよ 救い主が生まれる
『Bring a Torch, Jeanette, Isabella』(ブリング・ア・トーチ、ジャネット イザベラ)は、16世紀フランスのプロヴァンス地方に由来するクリスマスキャロル。賛美歌第二編115番『たいまつ手に手に』としても知られる。
元々クリスマスとは関連のない曲で、フランス貴族のダンス音楽として用いられていたという。1553年のフランスで最初に出版され、その後18世紀に英語に翻訳されてイギリスへ輸入された。
【YouTube】Bring a Torch, Jeanette Isabella
【YouTube】フランス語版 Un Flambeau, Jeannette, Isabella
歌詞の意味・日本語訳(意訳)
Bring a torch, Jeanette, Isabelle!
Bring a torch, to the stable run
Christ is born. Tell the folk of the village
Jesus is born and Mary's calling.
たいまつをもて ジャネット、イザベラ
たいまつをもて 馬屋へ急げ
キリストが生まれる 村人に伝えよ
救い主が生まれる 聖母マリアが呼んでいる
Ah! Ah! beautiful is the Mother!
Ah! Ah! beautiful is her child
ああ 美しき聖母
ああ 美しき幼な子イエス
Who is that, knocking on the door?
Who is it, knocking like that?
Open up, we've arranged on a platter
Lovely cakes that we have brought here
戸を叩くのは誰だ
そのように叩くのは誰だ
開けてくれ 大皿を持ってきた
美味そうなケーキを運んできたんだ
Knock! Knock! Knock! Open the door for us!
Knock! Knock! Knock! Let's celebrate!
コンコンコン 開けてくれ!
コンコンコン お祝いだ
It is wrong when the child is sleeping,
It is wrong to talk so loud.
Silence, now as you gather around,
Lest your noise should waken Jesus.
眠る幼な子を前に
大きな声で話してはならぬ
静かに 周囲の者よ
物音で幼な子を起こさぬように
Hush! Hush! see how he slumbers;
Hush! Hush! see how fast he sleeps!
シーッ! すやすやと眠る幼な子
シーッ! ぐっすりと眠る幼な子
Softly now unto the stable,
Softly for a moment come!
Look and see how charming is Jesus,
Look at him there, His cheeks are rosy!
穏やかに馬屋へ降誕せり
穏やかにその時は来れり
しかと見よ 可愛らしき幼な子を
しかと見よ 赤く染まったほほを
Hush! Hush! see how the Child is sleeping;
Hush! Hush! see how he smiles in dreams!
シーッ! 眠る幼な子
シーッ! 夢の中で微笑む幼な子
作曲者は誰?
作曲者は定かではないが、一説にはフランス盛期バロック音楽を代表する作曲家マルク=アントワーヌ・シャルパンティエ(Marc-Antoine Charpentier/1643-1704)による楽曲とも言われている。
17世紀オランダの画家ヘラルト・ファン・ホントホルスト(Gerard van Honthorst/ 1592-1656)による1622年の作品「Adoration of the Shepherds」(羊飼いの礼賛)
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歌詞の内容は?
クリスマスキャロル『Bring a Torch, Jeanette, Isabella』の歌詞では、イエス・キリストが降誕した馬屋の暗がりの中で、たいまつを急いで運び込むジャネット、イザベラが描かれる。
幼な子イエスの眠りを妨げないよう、大きな話し声を立てないように、「Hush! Hush! シーッ!静かに!」と周囲の者に静粛を求める様子も描写されている。
ジャネット イザベラは洗礼者ヨハネと関連
曲名にある人名「Jeanette, Isabella」(ジャネット、イザベラ)とは、フランスによく見られる女性名と思われるが、これはヨルダン川でイエス・キリストに洗礼を授けた洗礼者ヨハネと関連がある。
まず「Jeanette」(ジャネット)について、洗礼者ヨハネのラテン語名はヨハンネス(Johnannes)、その女性形はヨハンナ(Johanna)だが、ジャネット(Jeanette)はこれが変化した人名として知られている。ジャンヌ・ダルク(Jeanne d'Arc)のジャンヌもその一例。
次に「Isabella」(イザベラ)については、洗礼者ヨハネの母エリサベツ(エリザベト/Elizabeth)の名前が変化した人名と考えられる。
なお、「エリザベツ」自体もヘブライ語のエリシェバ(Elisheva)に由来し、エリは「わが神」、シェバは「誓い」「維持」を意味し、あわせて「わが神はわが誓い」「わが神はわが支え」となる。