盛岡さんさ踊り

サッコラー チョイワヤッセー♪ 壮麗な和太鼓パレード

「盛岡さんさ踊り」は、岩手県盛岡市で毎年8月1日から4日まで行われる夏祭り行事。

「サッコラー チョイワヤッセー♪」の掛け声が特徴で、壮麗な和太鼓パレードはその数の多さでギネス登録されている。一般公募のミスさんさ踊りも華やかだ。

盛岡さんさ踊り パレード

2007年には、NHK朝ドラマ「どんど晴れ」で「盛岡さんさ踊り」が再現され全国的な注目を集めた。ギネス記録も同年に達成された。

このページでは、「盛岡さんさ踊り」について簡単にまとめたうえで、「サッコラー チョイワヤッセー♪」の意味や語源・由来について考察してみたい。

写真:盛岡さんさ踊り ミスさんさ踊り(出典:YouTube)

【YouTube】盛岡さんさ踊り

ギネス記録 世界一の太鼓大パレード

ギネス世界記録「Largest Japanese Drum Ensemble」(最も多い数の和太鼓の演奏)の挑戦において、「盛岡さんさ踊り」は2007年に記録達成。2011年に熊本市に抜かれたが、2014年に再度ギネス記録を奪還した。

パレード参加人数は年々増加しており、参加者数が増えるに連れて、太鼓の数も増えつづけている。当分はギネス記録を保持し続けることだろう。

写真:世界一の太鼓大パレード(出典:盛岡さんさ踊り実行委員会)

NHK朝ドラマ「どんど晴れ」で注目

2007年4月から放送されたNHK朝ドラマ「どんど晴れ」は、シリーズ初となる岩手県盛岡市を主な舞台としたドラマ。盛岡市の老舗旅館「加賀美屋」で女将修行をする主人公の奮闘を描く。

「どんど晴れ」劇中では、地元の協力の下で「盛岡さんさ踊り」が再現され、注目を集めた。和太鼓の数の最初のギネス記録も、この「どんど晴れ」放送期間中に達成されたもの。

写真:NHK朝ドラマ「どんど晴れ」サウンドトラック

掛け声の意味・語源は?

「盛岡さんさ踊り」の大きな特色の一つである「サッコラー チョイワヤッセー♪」。その意味や語源・由来などについて、独自に解釈してみたい。

まず、「サッコラ」と「チョイワヤッセー」の2つに大きく分けた上で、一つずつ分析を試みることとする。

サッコラの意味・語源は?

「サッコラ」については、「サッ」と「コラ」に分かれる。

「サッ」は、現代での「さあ、やるぞ!」の「さあ」のように、何かをするように人々に呼び掛ける際の言葉「サァ」が語源ではないだろうか。

「コラ」は、「えんやこら」や「こらさっさ」などの「こら」のように、語調を整えるための意味のない「囃子詞(はやしことば)」と考えられる。

この考え方からは、サッコラの後に、実際に「サァ」によって促される動作の具体的内容を表す動詞が続くことになる。その動作とは?

チョイワヤッセーの意味・語源は?

「チョイワヤッセー」については、「チョイ」と「ワヤッセー」か、「チョイワ」と「ヤッセー」で分かれる。

「チョイ」で切る場合

「チョイ」で切る場合、その「チョイ」は「ちょいと」が語源か。「踊り踊るならチョイト東京音頭ヨイヨイ♪」のような囃子詞だろうか。

「ワヤッセー」については、「囃せ(はやせ)」が語源と推測される。「囃す(はやす)」とは、お祭りの笛や太鼓などの「お囃子(おはやし)」のこと。

「チョイワ」で切る場合

「チョイワ」は、囃子詞「ちょいな」の変化したものか。

「ヤッセー」は、『秋田音頭』の囃子詞「ヤッショーマカショ♪」の「ヤッショー」に近い語源がありそうだが不明。または、『阿波踊り』の「ヤットサー」や、青森県の『深浦小唄』に唄われる「ヤットセ」なども近いものを感じる。ねぶた祭の「ラッセーラー」の影響も?

全体の意味は?

「ワヤッセ」の語源が「囃せ(はやせ)」であると仮定したうえで、「サッコラー チョイワヤッセー♪」全体の意味を通して解釈すると、「さあ、踊りを盛り上げるために、ちょいと囃しておくれ(囃すぞ)」という意味の言葉だったのではないかと推測される。

ちなみに、類似の囃子ことばとしては、富山県に伝わる『越中おわら節』の「うたわれよ わしゃはやす」という唄ばやしがある。

サッコラは「幸呼来」?

ネットでサッコラを調べると、幸せを招くという縁起の良い「幸呼来」という漢字が当てられているケースをよく見かける。

これは、「愛羅武勇(アイラブユー)」や「夜露死苦(よろしく)」などをほうふつとさせるが、そういった類の言葉ではないようだ。由来や起源について詳細は一切不明。

その由来や起源について詳細は不明だ。ヤンキー用語ではないようだ。

ちなみに、掛け声に漢字をあてた日本の伝統行事としては、西日本の「宝恵駕籠 ほえかご」や「ホーランエンヤ」などが有名。

祝いあんせ?

「イワヤッセー」の意味・由来について、興味深い考察をお寄せいただいたので、ここで引用してご紹介したい。

私は盛岡出身なのですが、<中略>「いわやっせ」はもしかすると 「祝いあんせ」(盛岡の方言、祝いましょう) の可能性があると思います

さんさ踊りの起源は、羅刹という鬼を三石神社の神様が懲らしめてくれて、もう悪さをされることが無くなった民衆がお祝いのお祭りをしたという民話から来ています。

その時に踊ったのがさんさ踊りなので
「さあコラちょいと、祝いあんせ」
と、言っているかもしれません。

非常に説得力のある解釈をお寄せいただき、お礼申し上げます。

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