イヨマンテの夜 歌詞の意味 古関裕而

アイヌの儀礼「イオマンテ」をテーマとした異色の歌謡曲

『イヨマンテの夜』は、作詞:菊田一夫、作曲:古関裕而(こせき ゆうじ)により、1950年(昭和25年)にレコード発売された歌謡曲。

歌は、古関裕而ら「福島三羽烏(さんばがらす)」の一人、伊藤久男。

原曲は、NHKラジオドラマ「鐘の鳴る丘」挿入曲として1949年(昭和24年)に放送された「山男のテーマ」。

歌詞がない「ア~ア~」という発声のみの楽曲だったが、これにアイヌの儀礼「イオマンテ」をテーマとした歌詞をつけて、歌謡曲『イヨマンテの夜』が生まれた。

アイヌの熊祭り「イオマンテ」

アイヌの儀礼「イオマンテ」とは、ヒグマなどの動物を殺して、その魂であるカムイを神々の世界に送り帰す祭りを意味している。「熊祭り」とも呼ばれる。

氷川きよし、細川たかし、秋川雅史、錦織健らがカバーしている。

写真:イオマンテを行うアイヌの男性たち(出典:Wikipedia)

【YouTube】伊藤久男 イヨマンテの夜 1975

【YouTube】 細川たかし イヨマンテの夜

歌詞の意味・内容

『イヨマンテの夜』の歌詞と内容について若干補足してみたい。一番の歌詞を次のとおり引用する。

イヨマンテ
燃えろ かがり火
ああ 満月よ
今宵 熊祭り
躍ろう メノコよ
タム タム 太鼓が鳴る
熱き唇 我によせてよ

この歌詞では「燃えろ かがり火」と描写されているが、実際の熊祭り「イオマンテ」では、日中行われる部分が多く、夜間にもかがり火は焚かれないという違いがある。

「躍ろう メノコよ」の「メノコ」(アイヌ語)とは、「女(め)の子」、つまり女の子・若い娘のこと。これは日本の古典にも登場する古語「おのこ(男の子)」、「めのこ(女の子」からの借用語である可能性が高い。

「タム タム 太鼓が鳴る」について、アフリカの民族楽器タムタム(トムトム)と結びつける解説を見かけたが、これは素直に擬音と捉えるべきであろう。

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