青い影 A Whiter Shade of Pale 歌詞の意味 和訳

イギリスのロック・バンド、プロコル・ハルムのデビュー曲

『A Whiter Shade of Pale』(ア・ホワイター・シェイド・オブ・ペイル)は、イギリスのロック・バンド、プロコル・ハルム(Procol Harum)による1967年リリースのデビュー曲。邦題は『青い影』。

プロコル・ハルムは楽曲にクラシック的要素を積極的に取り入れており、ウィキペディアによれば、同曲のイントロについても、バッハ『管弦楽組曲第3番』(いわゆる『G線上のアリア』)との近似性が指摘されているという。

プロコル・ハルム Procol Harum 青い影

ジャケット写真:プロコル・ハルム(青い影)+11(K2HD/紙ジャケット仕様)

ジョン・レノンは、『A Whiter Shade of Pale』を「人生でベスト3に入る曲」と絶賛しており、「今の音楽業界でこの曲以外は聴く価値がない」とまで語っていたという。

ウィキペディアによれば、松任谷由実は、この曲が大きなきっかけとなり、自身で作曲を手がけるようになったとのこと。山下達郎は、当時ラジオでこの曲を聴き、すぐにレコードを購入。その日のうちに100回は聴いたという逸話が残っている。

【YouTube】A Whiter Shade of Pale

歌詞の意味・和訳(意訳)

『A Whiter Shade of Pale』

作詞・作曲:キース・リード、ゲイリー・ブルッカー、マシュー・フィッシャー

We skipped the light fandango
Turned cartwheels 'cross the floor
I was feeling kinda seasick
But the crowd called out for more

僕らは軽やかなファンダンゴを踊った
ダンスフロアで側転してみせたら
船酔いみたいな感じがしたけど
周りが叫ぶんだ もっとやれって

The room was humming harder
As the ceiling flew away
When we called out for another drink
The waiter brought a tray

盛り上がったダンスルーム
天井が吹き飛ぶほどに
酒のおかわりを頼んだら
ウェイターがトレーを持ってきた

And so it was that later
As the miller told his tale
That her face, at first just ghostly
Turned a whiter shade of pale

その後だった
寝取られた粉屋の話をすると
彼女の顔は 最初に血の気を失って
みるみる青白くなっていった

She said, there is no reason
And the truth is plain to see
But I wandered through my playing cards
And would not let her be

彼女は言った「理由はないわ」
「真実は見ての通りよ」
でも僕はどうするべきか悩んだ
彼女をそうさせたくなかった

One of sixteen vestal virgins
Who were leaving for the coast
And although my eyes were open
They might have just as well've been closed

16人のウェスタの巫女の一人は
沖へ流された
僕の目は開いていたけど
閉じてたほうがよかったのかも

And so it was that later
As the miller told his tale
That her face at first just ghostly
Turned a whiter shade of pale

その後だった
寝取られた粉屋の話をすると
彼女の顔は 最初に血の気を失って
みるみる青白くなっていった

ファンダンゴ

ファンダンゴ(Fandango)は、主にフラメンコの男女ペアで踊られるスペイン起源のダンス。ギターと手拍子またはカスタネットで伴奏される。

クィーンの名曲『ボヘミアン・ラプソディ』の歌詞でもファンダンゴが登場する。

【YouTube】THE FANDANGO DANCE

英語では、活気あふれるダンスの様子から「馬鹿騒ぎ」の意味でも使われる。そのため、歌詞の解釈としては、実際にファンダンゴを踊ったとの解釈と、ファンダンゴのように陽気に騒いだという例えとして解釈する余地がある。

粉屋の物語(カンタベリー物語より)

歌詞に登場する「the miller」(粉屋)とは、14世紀イングランドの物語集『カンタベリー物語』(The Canterbury Tales)の登場人物(話し手)の一人。

粉屋が語るのは、大工の家に下宿していた若者が、大工の若妻と恋仲になるという寝取られ物語。

カンタベリー物語

写真:カンタベリー物語 上(完訳) 岩波文庫

『A Whiter Shade of Pale』の歌詞において「粉屋の物語」が持ち出されたのは、彼女の浮気に気づいていることをほのめかすため。

思いがけず図星を突かれた彼女は、顔から血の気が引き、みるみるうちに青ざめていった。

ウェスタの巫女

歌詞にある「sixteen vestal virgins」(16人のウェスタの巫女)とは、古代ローマの女神ウェスタに仕えた巫女たちのこと。ウェスタの乙女、ウェスタの処女とも呼ばれる。英語では「ヴェスタ」。

ウェスタの巫女 Vestal virgins

写真:Vestal virgins by Jean Raoux, 1727(出典:Wikipedia)

6人の巫女が聖職につき、亡くなって空位が生じると、候補者から新たな巫女が選定された。「16人」という数字は、歴史を通して存在した複数の時代の巫女を抽象的に表す便宜的な表現と思われる。

ウェスタの巫女たちは、ごく若いうちから30年間禁欲を守ることを誓わされる。誓いを破ったものは、厳しい刑罰を受けて命を落とした。

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