セイリング Sailing 歌詞の意味・和訳

ロッド・スチュワートのカバーで世界的にヒット

『Sailing』(セイリング)は、スコットランド出身のサザーランド・ブラザーズ(The Sutherland Brothers)が1972年に発表した楽曲。

1975年にイギリスのロッド・スチュワート(Rod Stewart)が同曲をカバーし、ヨーロッパを中心に世界的なヒット曲となった。

ベスト・オブ・ロッド・スチュワート Rod Stewart

ジャケット写真:ベスト・オブ・ロッド・スチュワート

歌詞の意味・内容については、ネットで海外サイトを確認した限り、主に次の二つの解釈があるようだ。

1.恋人(または家族)の元へ船で向かう若者の歌

2.クリスチャンソング(航海は比喩)

いずれの解釈も成り立ちうるように感じられるが、原曲の作者であるサザーランド・ブラザーズのインタビュー記事によれば、作者は『Sailing』をクリスチャンソングとして作詞したとのこと。

たしかに、讃美歌『主よ御許に近づかん(Nearer, my God, to Thee)』に歌詞の内容が近いものがあり、歌詞の最後で「Lord(主)」が繰り返し登場することを考えても、『Sailing』をクリスチャンソングとする解釈はごく自然なように思われる。

このページでは、まず『Sailing』歌詞の意味・和訳を掲載したうえで、歌詞の解釈について原曲の作者が答えたインタビュー記事をご紹介したい。最後に、イギリス海軍との関係についても簡単にまとめておく。

【YouTube】 Rod Stewart - Sailing (Official Video)

【YouTube】 Sutherland Brothers Band -Sailing 1972

歌詞の意味・和訳(意訳)

『Sailing』

歌詞はロッド・スチュワート版(部分的に異なる)

I am sailing, I am sailing
Home again 'cross the sea
I am sailing, stormy waters
To be near you, to be free

海を行く 私は海を行く
再び故郷へ 海を渡って
海を行く 嵐の海を
あなたのそばに 自由を求めて

I am flying, I am flying
Like a bird 'cross the sky
I am flying, passing high clouds
To be with you, to be free

空を行く 私は空を行く
鳥のように 空を渡って
空を行く 高い雲を抜けて
あなたと共にあるために
自由を求めて

Can you hear me, can you hear me
Thro' the dark night, far away
I am dying, forever crying
To be with you, who can say

聞こえますか 私の声が
闇夜を抜けて 遠くから
死の淵にあっても 永遠に叫び続ける
あなたと共にあるために
そうなれるか誰にも分からないけど

Can you hear me, can you hear me
Thro' the dark night far away
I am dying, forever crying
To be with you, who can say

聞こえますか 私の声が
闇夜を抜けて 遠くから
命尽きようとも 永遠に叫び続ける
あなたと共にあるために
そうなれるか誰にも分からないけど

<注:原曲では、"crying"は"trying"となっている>

We are sailing, we are sailing
Home again 'cross the sea
We are sailing stormy waters
To be near you, to be free

海を行く 私は海を行く
再び故郷へ 海を渡って
海を行く 嵐の海を
あなたのそばに 自由を求めて

Oh Lord
To be near you, to be free
Oh my Lord
To be near you, to be free
Oh my Lord
To be near you, to be free
Oh Lord

ああ主よ
あなたのそばに 自由を求めて

歌詞の解釈・意味合いについて

『Sailing』歌詞の解釈・意味合いについては、原曲の作詞・作曲者であるサザーランド・ブラザーズ(The Sutherland Brothers)のインタビュー記事が参考になる。

この記事は、1975年11月に彼らの故郷スコットランドの地元紙スコティッシュ・デイリー・エクスプレス(Scottish Daily Express)上に掲載されたインタビューとのこと。

『Sailing』に関する該当箇所を次のとおり引用する(出典:Wikipedia)。

Gavin Sutherland said of the song, "Most people take the song to be about a young guy telling his girl that he's crossing the Atlantic to be with her."and with a grin, continued "In fact the song's got nothing to do with romance or ships; it's an account of mankind's spiritual odyssey through life on his way to freedom and fulfillment with the Supreme Being."

<和訳>

キャビン・サザーランドはこの曲について言った。「多くの人々はこの歌を、彼女に会うため大西洋を航海している若い男が彼女に語りかける歌だと解釈してる。」彼は、にやっと笑って続けた。「実際には、この歌は恋愛や船旅とは何も関係がない。これは生涯を通して自由と神の成就へと至る人類の精神的な(霊的な)放浪の話なんだ。」

イギリス海軍との関係

ロッド・スチュワート『Sailing』は、イギリス海軍との関係で言及されることがある。

これは、退役間近だったイギリス海軍の航空母艦アーク・ロイヤル (HMS Ark Royal)について、1976年にBBC(英国放送協会)で2か月にわたり放送されたドキュメンタリー番組で同曲がテーマ曲として用いられたことが大きな契機となっている。

このドキュメンタリー番組により、ロッド・スチュワート『Sailing』はイギリス国内でリバイバル・ヒットし、同曲はイギリス海軍をイメージさせる楽曲として同国内で強く印象付けられた。

イギリス海軍の通常空母 アーク・ロイヤル HMS Ark Royal

写真:アーク・ロイヤル (HMS Ark Royal)出典:Wikipedia

アーク・ロイヤル (HMS Ark Royal)は、1955年に就役し、1978年12月に退役したイギリス海軍最後の通常空母。

1982年3月からイギリスとアルゼンチンとの間で勃発したフォークランド紛争では、アーク・ロイヤル退役による対空早期警戒能力の低下で、アルゼンチン空軍機の低空侵攻を防げず、イギリス海軍が損害を被る一因となったといわれている。

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