ルパン三世とガルパン(ガールズ&パンツァー)
宮崎駿によるイタリア演出とアンツィオ高校

アニメ作品の元ネタ・オマージュ・パロディ

ルパン三世とガールズ&パンツァー、すなわち「ルパンとガルパン」という言葉遊びのような二つの人気アニメ作品について、関係性はあるのか?ないのか?お遊び半分に考察してみたい。

ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です!(特典映像付)

ガルパン水島努監督とルパン三世

ガルパンの水島努監督は、二十歳過ぎにアニメ制作会社のシンエイ動画に就職し(1986年入社)、2004年8月に退社するまで、「ドラえもん」・「エスパー魔美」などの制作進行や、「クレヨンしんちゃん」シリーズの脚本や絵コンテ・演出を手がけている。

シンエイ動画と言えば、前身のAプロダクション時代にアニメ「ルパン三世(テレビ第1シリーズ)」制作を担当していることは有名。ガルパンとルパンは、まずシンエイ動画の歴史にそのつながりを見出すことができる。

ルパン三世は宮崎駿によるイタリア系へ

ルパン三世は怪盗ルパン(ルパン一世)の孫という位置付けだが、この怪盗ルパンとは、フランスの小説家モーリス・ルブランによる冒険小説シリーズの主人公アルセーヌ・ルパンであり、主にフランスで活躍するフランス人の主人公である。

テレビ第1シリーズのルパン三世は当初、「おばけのQ太郎」や「怪物くん」を手がけた大隅正秋の演出により、フランス系大金持ちの道楽で退屈しのぎに泥棒をする退廃的で倦怠感ただよう人物像が想定されていたようだが、視聴率の低迷で方針を大幅変更。

Aプロダクションの高畑勲と宮崎駿に演出がバトンタッチされると、当初大人向けだったハード・タッチの作風が徐々に子供向けに軌道修正が進んでいき、現在のイタリア系でコミカルな貧乏キャラへ演出が変更されていった。

宮崎は後年、大隅時代からAプロ時代のルパン像の変化を、「富裕の倦怠を紛らわすために泥棒をする退廃したフランス貴族の末裔から、常にスカンピンで何かオモシロイことはないかと目をギョロつかせているイタリア系の貧乏人への変化」と説明している(参照:Wikipediaより)。

「ルパン三世」~テーマ・ヒストリー

ルパンの愛車もイタリア系へ

ルパン三世の最初の愛車はドイツの黄色いベンツSSK。エンジンはイタリアのフェラーリ312B 水平対向12気筒に乗せかえられ500馬力にパワーアップされている。

TV第2シリーズからは、イタリアのアルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテやフィアット500に変更され、愛車もイタリア系に変更された。

ガルパン・アンツィオ高校のイタリア系戦車

アンチョビ隊長率いるガルパンのアンツィオ高校では、P40重戦車、セモヴェンテM41、カルロ・ヴェローチェCV33、M13/40カルロ・アルマート(漫画版)などのイタリア系戦車が登場する。

特に、主力の豆戦車カルロ・ヴェローチェCV33は、機動力の高い快速戦車として、ガルパン劇中で縦横無尽の活躍を見せており、ルパン三世を思わせるようなドリフトや片輪走行などの自由なカースタントが異彩を放っている。

アンツィオ高校OVAなどのガルパン作中には、「カリオストロの城」カーチェイスシーンなど、ルパン三世の愛車が縦横無尽に跳ね回る様子を意識したと思われるコミカルなカットが散見される。

上の動画のように、ガルパン側のシーンを切り貼りしてルパン演出に近づけている比較動画もアップされており、シンエイ動画出身の水島監督によるルパン・オマージュを改めて楽しむことができる。

カリオストロの城とガルパンの予言

余談だが、宮崎駿監督による1979年公開のアニメ映画「ルパン三世 カリオストロの城」では、変装して潜入したルパンを見抜けなかったシーンで、「バカヤロー、あいつがルパンだ!」という名言が生まれている。

「あいつがルパンだ!」・・・がルパンだ・・・ガルパンだ・・・。この台詞が水島監督のガルパン誕生に影響したとかしてないとか(もちろん無関係。いや、ひょっとして・・・)。

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