ひばり ハイドン弦楽四重奏曲第67番

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(Franz Joseph Haydn/ 1732-1809)

ハイドン『ひばり』は、1790年に作曲された弦楽四重奏曲第67番 ニ長調 作品64-5。

第1楽章冒頭の旋律がひばりの鳴き声を思わせることからこの名が付いた。ハイドン本人がつけたものではなく、いつ頃命名されたかは明らかではない。

ひばり

写真:ひばり(出典:Scottish Wildlife Trust)

ハイドンは、ハンガリーの貴族エステルハージ侯爵家に楽長として長く仕えた。同曲も、エステルハージ家の宮廷楽団ヴァイオリニストであるヨハン・トストからの依頼により作曲された作品。

ハイドンは生涯で少なくとも68曲の弦楽四重奏曲を作曲しており、その形式を確立した「弦楽四重奏曲の父」として称えられている。

モーツァルトにも多大な影響を与え、1785年に出版されたモーツァルトによる6曲の弦楽四重奏曲「ハイドン・セット」は全曲ハイドンに献呈された。

ハイドンによる有名な弦楽四重奏曲としては、この『ひばり』の他にも、第二楽章が有名な『ハイドンのセレナーデ(弦楽四重奏曲第17番)』が広く知られている。

【YouTube】 ハイドン『ひばり』イタリア弦楽四重奏団

【YouTube】 ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団

ヒバリの生態について

ヒバリ(雲雀)は、スズメ目ヒバリ科ヒバリ属に分類される鳥類。

春の繁殖期には、縄張りを主張するためにオスが鳴き声をあげながら空高く上昇していく「揚げ雲雀」という習性が見られる。

ヒバリ

このことから、ヒバリは春を告げる鳥として知られており、春の季語として松尾芭蕉や与謝蕪村らが句を詠んでいる。

写真:ヒバリ(出典:Wikipedia)

ヒバリの声を模したクラシック音楽

グリーンスリーヴスによる幻想曲』で知られるイギリスの作曲家レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(Ralph Vaughan Williams/1872-1958)は、ヒバリのさえずりを模した『揚げひばり』という作品を残している。

正確な曲名は、『The Lark Ascending(ザ・ラーク・アセンディング/舞い上がるひばり)』。

ヴァイオリンとオーケストラのための作品で、副題は「ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス」(Romance for Violin and Orchestra)。

自由な三部形式で書かれている。冒頭のA部分では、独奏ヴァイオリンによるヒバリの鳴き声を模倣したカデンツァに続き、空高く舞い上がるヒバリを思わせる美しい主題旋律が奏でられる。

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