バイカル湖のほとり

ロシア民謡・歌曲/作詞・作曲:不詳

『バイカル湖のほとり По диким степям Забайкалья』は、19世紀後半頃に成立したとされるロシア民謡・歌曲。作詞・作曲者については明らかではない。

同曲は、1947年にソビエト連邦で制作・公開された2番目のカラー映画「シベリア物語」で主題歌・テーマ曲として使われて有名になった。

写真は、曲名にもある世界遺産・バイカル湖。ロシアのシベリア地方に位置し、湖西の都市イルクーツクから自動車で1時間ほどでアクセスできる。

バイカル湖およびその周辺は、チョウザメやサケ科の魚オームリ、バイカルアザラシなど1300種以上の多様な生物が生息しており、世界屈指の生物多様性を持つ湖として知られている。

【YouTube】バイカル湖のほとり "По диким степям Забайкалья"

歌詞の内容は? デカブリストの乱

『バイカル湖のほとり』の歌詞では、脱走した囚人がバイカル湖を渡り、やっとのことで家についたら、父親は既に亡くなっていて、兄弟はシベリア送りになっていたという散々な内容のストーリーが描かれている。

写真:4月上旬のバイカル湖のほとり

主人公はどういう理由で収容されていたのだろうか?一説によれば、1825年12月にロシアで起きた将校による反乱事件「デカブリストの乱」が関係しているようだ。

12月はロシア語で「デカーブリДекабрь」というが、反乱が12月に起きたことから将校らはデカブリスト(十二月党員)の名で呼ばれていた。

フランス7月革命 レ・ミゼラブルへ

翌月には鎮圧され、軍事法廷で500名以上が裁判を受け、バイカル湖のあるシベリアなどに流刑となった。ロシアの作家アレクサンドル・プーシキンは首謀者らと当時交流があったという(当局から監視を受けていた)。

デカブリストの乱は、その後のヨーロッパ各国での革命運動の契機となり、5年後のフランス7月革命(レ・ミゼラブルの歴史的舞台)にも影響を与えたと考えられている。

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