芭蕉布 ばしょうふ 歌詞の意味

沖縄県・奄美群島の特産品である布織物の芭蕉布を題材とした沖縄歌謡

『芭蕉布』(ばしょうふ)は、作詞:吉川安一、作曲:普久原恒男により1965年に発表された沖縄歌謡。

長山洋子、夏川りみ、森山良子、倍賞千恵子らがカバーしている。

芭蕉布

写真:芭蕉布/出典:Webサイト「きもの創り玉屋」

沖縄県および奄美群島の特産品である布織物の芭蕉布は、バショウ科の多年草イトバショウから採取した繊維を使って織られる。別名「蕉紗(しょうしゃ)」。

一反の芭蕉布を織るために必要な芭蕉は200本といわれる。繊維質をより分ける精練作業を経て、一反織り上げるのに2カ月を要するなど膨大な労力が必要なため、現在では生産量が激減。一反(一人分)数十万円もする高級反物に位置付けられている。

イトバショウ

写真:芭蕉布の原料となるイトバショウ(出典:Wikipedia)

【YouTube】『芭蕉布』 夏川りみ

歌詞の意味

歌詞の意味を補足するため、作詞:吉川安一による『芭蕉布』の歌詞を次のとおり引用する。

海の青さに 空の青
南の風に 緑葉(みどりば)の
芭蕉は情(なさけ)に
手を招く
常夏(とこなつ)の国
我(わ)した島沖縄(うちなー)

首里(しゅり)の古城の 石だたみ
昔を偲(しの)ぶ かたほとり
実れる芭蕉 熟(う)れていた
緑葉の下 我した島沖縄

今は昔の 首里天(すいてん)じゃなし
唐(とう)ヲゥーつむぎ はたを織り
上納ささげた 芭蕉布
浅地(あさじ)紺地(くんじ)の
我した島沖縄 沖縄

「我(わ)した」とは、われら、 われわれ。「わったー」に比べやや力んだ言い方。

「かたほとり」とは、町外れ、片田舎、片隅などの意味。片辺り/偏辺り。

「唐ヲゥー」とは、芭蕉の茎の繊維のこと。

首里城 沖縄県那覇市

写真:首里城(沖縄県那覇市/2011年頃/出典:Wikipedia)

「首里天(すいてん)」は、1429年から1879年まで存在した琉球王国、琉球王朝を指す。

「首里天(すいてん)じゃなし」とは、国王の敬称、首里の国王様を意味する。首里天加那志と表記される。読みは「しょりてんがなし」、「しゅいてんがなし」、「しゅいてぃんじゃなし」など様々。

「上納ささげた」とは、ここでは年貢・租税として琉球王朝(江戸時代には薩摩藩)に芭蕉布を納めていた歴史を意味する。

「浅地紺地(あさじくんじ)」とは、浅く染めた布地と濃い藍色に染めた布地のこと。沖縄歌謡では、愛情の深さのたとえとして使われることがあり、浅地は浅く薄い愛情、浅い恋心、浮気心などを表すことが多い。

関連ページ

沖縄民謡・沖縄ソング
「ハイサイおじさん」、「涙そうそう」、「谷茶前節」など、沖縄に関連する民謡・歌謡曲まとめ
都道府県別の民謡・ご当地ソング
「会津磐梯山」、「草津節」、「ソーラン節」、「ちゃっきり節」など、日本全国各地の地元に根付いた地方の民謡、地名の入った歌まとめ