丘を越えて 歌詞の意味

古賀政男が後輩との花見で作曲したマンドリン合奏曲に作詞

「丘を越えて行こうよ」が歌いだしの『丘を越えて』(おかをこえて)は、1931年(昭和6年)の映画「姉」主題歌として発表された昭和初期の歌謡曲。歌:藤山一郎。

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同曲は、作曲家の古賀政男が明治大学マンドリン倶楽部の後輩と稲田堤(現川崎市多摩区)で花見(桜見物)をした際に、マンドリン合奏曲『ピクニック』として作曲された。

つまり当時は歌詞の無いインストゥルメンタル(器楽曲)だったが、後に映画主題歌として作詞者の島田芳文により歌詞が追加された。

作詞のイメージは、北軽井沢の浅間牧場の風景がモデルになっているという。浅間牧場には『丘を越えて』の歌碑も建てられている。

【YouTube】丘を越えて 藤山一郎/古賀政男.

歌詞

丘を越えて 行こうよ
真澄の空は 朗らかに 晴れて
たのしいこころ
鳴るは 胸の血潮よ
讃えよ わが青春(はる)を
いざゆけ
遥か希望の丘を越えて

丘を越えて 行こうよ
小春の空は 麗らかに 澄みて
嬉しいこころ
湧くは 胸の泉よ
讃えよ わが青春(はる)を
いざ聞け
遠く希望の鐘は鳴るよ

歌詞の意味

『丘を越えて』の歌詞について、若干補足してみたい。

「真澄の空」(ますみのそら)とは、非常によく澄んた空のこと。

「血潮」(ちしお)とは、激しい情熱や感情のたとえ。

「小春」(こはる)とは、初冬の穏やかで暖かい春に似た日和が続くころ。また、陰暦10月の異称。

童謡『ピクニック』との関係は?

マンドリン合奏曲『ピクニック』を原曲とする歌謡曲『丘を越えて』だが、「ピクニック」と「丘を越え」という二つのキーワードを耳にすると、当サイトの筆者としては、童謡『ピクニック』を思い出さずにはいられない。

童謡『ピクニック』は、「♪丘を越え 行こうよ 口笛吹きつつ♪」が歌いだしの童謡で、原曲はイギリスまたはアメリカの童謡『She'll be Coming Round The Mountainとされている。

NHK「みんなのうた」で1962年4月に初回放送されており、作詞は萩原英一とクレジットされている。

萩原氏が「みんなのうた」向けに作詞を行う際、人気の歌謡曲『丘を越えて』にあやかって似たような表現を用いたのだろう。

『ピクニック』の「空は澄み 青空」の部分も、『丘を越えて』の「真澄の空」と対応しており、ある意味『丘を越えて』のオマージュ的童謡と言えるかもしれない。

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