瀬戸の花嫁 歌詞の舞台

日本の歌謡曲/瀬戸内海の美しい島々や段々畑

「瀬戸は日暮れて 夕波小波」が歌いだしの『瀬戸の花嫁』(せとのはなよめ)は、小柳ルミ子の歌唱による1972年の歌謡曲。作詞:山上路夫、作曲:平尾昌晃。

作詞者が広島県尾道から四国に向かう船上で見た、瀬戸内海の島々や段々畑などの美しい情景が歌詞に歌いこまれているという。

歌の舞台・モデルについては、どこか特定の島を念頭に置いたわけではなく、瀬戸内海に数多く存在する島々全体のイメージから作詞されたようだ。

写真:尾道市因島 除虫菊の段々畑(出典:風そして 木々のささやき)

【YouTube】瀬戸の花嫁/小柳ルミ子

歌詞

瀬戸は日暮れて 夕波小波
あなたの島へ お嫁にゆくの
若いと誰もが 心配するけれど
愛があるから 大丈夫なの
段々畑と さよならするのよ
幼い弟 行くなと泣いた
男だったら 泣いたりせずに
父さん母さん 大事にしてね

岬まわるの 小さな船が
生まれた島が 遠くになるわ
入江の向うで 見送る人たちに
別れ告げたら 涙が出たわ
島から島へと 渡ってゆくのよ
あなたとこれから 生きてくわたし
瀬戸は夕焼け 明日も晴れる
二人の門出 祝っているわ

最初は「峠の花嫁」だった?

『瀬戸の花嫁』の歌詞は当初、「瀬戸の夕焼け」と「峠の花嫁」という別々の作品として起案されていたという。

できあがったのが「峠の花嫁」と「瀬戸の夕焼け」の2曲でした。でも、何かが足りません。2時間かけて議論しましたが万策尽きて、ディレクターは疲れてソファに寝転びました。その瞬間、山上さんはひらめきました。「二つをいっしょにしよう」。ディレクターは跳び起きました。こうして生まれたのが「瀬戸の花嫁」です。

<引用:asahi.com「うたの旅人」より>

この二つの案を一つの歌詞にまとめた結果、現在の『瀬戸の花嫁』の形となったようだ。

キャンディ・キャンディ主題歌に影響?

1972年にリリースされ大ヒットとなった『瀬戸の花嫁』は、その4年後に放送されたテレビアニメ「キャンディ・キャンディ」主題歌にも影響を与えた(可能性がある)。

どんな影響かといえば、「キャンディ・キャンディ」主題歌冒頭のメロディは『瀬戸の花嫁』のそれにとても良く似ているのだ。2曲を比較しながら聴いてみると、面白い発見があるかもしれない。

なお、残念ながらアニメ「キャンディ・キャンディ」は、原作者の水木杏子と作画のいがらしゆみことの間で起きた著作権訴訟により、現在アニメ本編は事実上の封印状態にある。

しかし、主題歌についてはこの裁判の影響を受けず、現在でも演奏・歌唱が可能となっている。

作詞者について

『瀬戸の花嫁』の作詞家は、「水戸黄門」主題歌『ああ人生に涙あり』やゴダイゴ『ガンダーラ』などを手掛けた山上 路夫(やまがみ みちお/1936-)。

その他、赤い鳥『翼をください』、アグネス・チャン『ひなげしの花』、山本コウタロー『岬めぐり』、トワ・エ・モワ『或る日突然』など、1960年代後半から1970年代にかけて、数多くのヒット曲の作詞を担当した。

関連ページ

ご当地ソング・都道府県別のうた
津軽じょんから節、ソーラン節、ちゃっきり節など、日本全国各地の民謡・ご当地ソングまとめ
花嫁のうた・お嫁さんの歌
『花嫁人形』、『雨降りお月さん』、『花かげ』など、花嫁に関連する日本の民謡・童謡、お嫁・花嫁が歌詞に出てくる世界のうたなど、花嫁・お嫁さんをテーマ・題材とした世界の歌まとめ