小泉八雲「だんごをなくしたお婆さん」

おむすびころりんのルーツ「地蔵浄土」「団子浄土」の影響も

「だんごをなくしたお婆さん The Old Woman Who Lost Her Dumpling.」は、明治35年(1902年)に英文で出版された草双紙・ちりめん本。出版:長谷川武次郎。日本でのタイトルは「お団子ころりん」(日本でも出版されたようだ)。

本文の執筆者は、ギリシャ生まれのイギリス人随筆家・小泉八雲(こいずみ やくも/1850-1904)。出生名はパトリック・ラフカディオ・ハーン(Patrick Lafcadio Hearn)。

小泉八雲は1896年(明治29年)に日本国籍を取得し、日本文化に関する多くの著作を残した。

ストーリー・あらすじは?

小泉八雲「だんごをなくしたお婆さん」(お団子ころりん)のストーリー・あらすじについては、日本の民話・昔ばなし「おむすびころりん」のルーツである「地蔵浄土」・「団子浄土」の前半部分といくつか共通点・類似点が見られる。

簡単にストーリーを要約すると、穴に落ちた団子を追ってお婆さんが鬼の世界へ迷い込むが、お地蔵様の助けで鬼の飯炊きとして仕事をもらい生き延びる。

やがて元の世界が恋しくなったお婆さんは鬼の世界を脱出。その際、鬼の台所から魔法のしゃもじを持ち帰り、それを使って団子屋を開き大繁盛してハッピーエンディング。

現代から見た重要性

「だんごをなくしたお婆さん」の執筆にあたり、小泉八雲は当時知られていたいくつかの日本の民話・昔ばなしをベースにしているが、ある程度の創作が入った作品となっているようだ。

ただ、創作があるとしても、明治35年の時点で「おむすびころりん」のルーツである「地蔵浄土」・「団子浄土」の影響を受けた作品の存在が確認できるのは大きな意味がある。

すなわち、来日した外国人である小泉八雲の目にも留まるほどに、「団子が穴に落ちて地蔵に出会う」というストーリーが明治後期の日本に定着していたことが、この「だんごをなくしたお婆さん」の存在で確認することができる。

この作品では、まだネズミもおにぎりも登場していない。「ネズミ浄土」や「おむすびころりん」に派生していくのは、やはり大正・昭和に入ってからなのだろうか。それとも他の地域にはすでに「ネズミ浄土」は存在していたのだろうか。興味は尽きない。

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