春と桜のことわざ 意味・由来

桜の花咲く暖かい春の気候や自然に関連する有名なことわざ

春と桜に関連する有名な季節のことわざ、春や桜という文字を含んだ故事成語や格言・慣用句、四字熟語などの意味や由来まとめ。

その他の有名なことわざや中国の故事成語などについては、こちらのページ「ことわざ・故事成語 意味・由来」でまとめている。

春宵一刻値千金

春宵一刻値千金(しゅんしょういっこく あたいせんきん)とは、春の夜は花が香り月夜も趣があり、わずかな時間でも千金の値打ちがあるという意味のことわざ。中国の故事に由来する。

「春のうららの隅田川」の歌いだしで有名な 瀧 廉太郎『花』の最後の歌詞で、「げに一刻も千金の ながめを何にたとふべき」とあるのは、このことわざを踏まえた内容となっている。

春眠暁を覚えず

春眠暁を覚えず(しゅんみん あかつきをおぼえず)とは、春の夜は寝心地がよく、朝が来たことにも気付かずに、つい寝過ごしてしまう、といった意味のことわざ。

由来は、唐の時代に活躍した中国の詩人・孟 浩然(もう こうねん/こうぜん/689-740)による五言絶句「春暁(しゅんぎょう)」。書き下し文は次のとおり。

春眠 曉(あかつき)を覺(おぼ)えず
處處(しょしょ) 啼鳥(ていちょう)を聞く
夜來(やらい) 風雨(ふうう)の聲(こえ)
花落つること 多少なるを知らんや

2行目以降の意味は、「あちらこちらから鳥のさえずりが聞こえる。昨夜は風雨であったが、花がたくさん散ったことだろう」といった内容。

暑さ寒さも彼岸まで

暑さ寒さも彼岸まで」とは、お彼岸にあたる春分の日や秋分の日を境に、それまでの暑さや寒さが和らいで過ごしやすくなるという意味の日本のことわざ

「彼岸 ひがん」とは、「到達・達成」を意味するインドのサンスクリット語「波羅蜜」(はらみた、はらみった、パーラミター)に由来する。

関連ページ:暑さ寒さも彼岸まで 意味・由来は?

三寒四温

三寒四温(さんかんしおん)とは、冬の寒い日が3日ほど続くと、その後に4日ほど暖かい日が続くという、春先の気候を意味することわざ。

もともとは中国北東部に由来することわざで、シベリア高気圧の勢力がほぼ7日周期で盛衰する地域に当てはまる気象現象。

ただ、日本列島は太平洋高気圧の影響も強くなるので、三寒四温をはっきりと観測できる頻度はそれほど多くないようだ。

春の晩飯後三里

春の晩飯後三里(はるのばんめし あとさんり)は、春の日の長さをたとえたことわざ。

春のお彼岸・春分の日を過ぎると、昼の時間の方が夜よりも長くなる。春は明るい時間が長く、なかなか日が暮れないので、晩飯後でもあと三里(約12㎞)は歩けるとその長さを表現している。

世の中は三日見ぬ間の桜かな

「世の中は三日見ぬ間の桜かな」は、世の中の移り変わりが激しい様を、桜の花が短期間で散ってしまう様子にたとえたことわざ。

由来は、江戸中期の俳人、大島蓼太による次のような俳句から。

世の中は三日見ぬ間に桜かな

ただ、この俳句は桜がいつの間にか「咲き揃っていた」という驚きを示すもので、あっという間に「散ってしまった」とは正反対の内容となっている。

明日ありと思う心の仇桜

明日ありと思う心の仇桜(あだざくら)とは、浄土真宗の開祖である親鸞聖人の言葉(伝説)。

親鸞は幼くして父母を亡くし、剃髪して出家しようとしたが、周囲から「時間も遅いし明日にしてはどうか」と情けをかけられた。

幼いながらも覚悟を決めていた後の親鸞は、次のように述べてその覚悟を示した。

明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは

明日もまだ咲いていると思っている桜も、夜中に嵐が来て散ってしまうかもしれない。つまり、出家の決意も朝になったら薄れてしまうかもしれない、という親鸞の覚悟が表現されている(という伝説)。

桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿

「桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿」とは、桜の木は下手に切るとそこから腐って枯れてしまうので切らない方がいいが、梅の木は適当に切らないと枝が込み合ってしまうので切った方がよい、という意味のことわざ。

ただ、適切な時期に適切な方法で実施すれば、桜の木を切った方が良い状況になる場合も少なくないようで、必ずしもこのことわざが当てはまるわけではないが、思い付きで不用意に切らない方が良いという戒めとしては意義があるように思われる。

春海秋山

春海秋山(はるうみあきやま)とは、春は朝に海の方が晴れていればその日は一日良い天気で、秋は山の方が晴れならその日は良い天気になる、という意味のことわざ・生活の知恵。

春に三日の晴れ無し

「春に三日の晴れ無し」とは、動きの速い移動性高気圧による春の晴天は長続きせず、3日と続かずに天気が変化してしまうという意味のことわざ。

花より団子

花より団子(だんご)とは、桜などの花を眺めて楽しむより、花見団子を食べて食欲を満たそうとするように、見るだけの風流や外観よりも、実利や実質を重んじることを例えたことわざ。

小春日和

小春日和(こはるびより)とは、晩秋から初冬にかけての、暖かく穏やかな晴天のこと。「小春」とは陰暦十月の別名で、現在の十一月頃にあたる。

春のように穏やかな晴れの気候を指すが、冬から春にかけての暖かい日に使うのは誤り。

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