死と乙女 シューベルト
Der Tod und das Mädchen

シューベルト(Franz Peter Schubert/1797–1828)

『死と乙女 Der Tod und das Mädchen』は、シューベルトが二十歳頃(1817年)に作曲された歌曲(作品7-3、D531)。出版は1821年。

歌詞はドイツの詩人マティアス・クラウディウス(Matthias Claudius/1740–1815)の同名の詩から採られ、死を恐れる乙女と死神との短い対話が描写されている。

「Das Mädchen」と見出しのついた前半部分では、何らかの病を患ったのだろうか、若くして最期を迎えようとしている一人の少女が、迫りくる死の恐怖に恐れおののき、「死神よ、こっちに来るな!」と頑なにこれを拒み続ける様子が歌われている。

そして「Der Tod:」と記された後半のパートでは、死神は乙女に優しく語りかけ、「私はお前の友だ、私の腕の中で安らかに眠れ」と、甘美なる永遠の安息をもたらす存在として描かれている。

なお、シューベルト『弦楽四重奏曲第14番』(D810)第2楽章では、変奏曲主題としてシューベルト歌曲『死と乙女』のピアノ伴奏部が用いられている。

【YouTube】Christa Ludwig sings "Der Tod und das Mädchen"

歌詞の意味・日本語訳(意訳)

Das Mädchen:

Vorüber! ach,vorüber!
Geh,wilder Knochenmann!
Ich bin noch jung,geh,Lieber!
Und rühre mich nicht an.

乙女:
あっちへ行け!残酷な死神よ
私はまだ若い 行ってしまえ!
私にさわらないで

Der Tod:

Gib deine Hand,du schön und zart Gebild,
Bin Freund und komme nicht zu strafen.
Sei guten Muts! Ich bin nicht wild,
Sollst sanft in meinen Armen schlafen.

死神:
手を取るのだ、美しく可憐な少女よ
私はお前の友 罰しに来たのではない
心穏やかに 私は野蛮ではない
私の腕の中で安らかに眠れ

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