落花生の豆まき 意味・理由 節分

北海道・東北などの寒い地域で節分に落花生が使われる理由は?

節分の豆まきは、炒った大豆(煎り大豆)をまく地域と、落花生(ラッカセイ)を殻のまま撒く地域の二つに分かれる。落花生が使われ始めたのは昭和30年代以降とのこと。

まずは日本地図で、節分における大豆と落花生の都道府県別分布を具体的に見てみよう(画像の出典:Weathernews)。これはアンケート結果を反映した一つの目安にすぎないが、興味深い傾向が見て取れる。

この図によれば、節分に落花生をまく都道府県は赤茶色で示されており、北海道・東北地方、新潟県、長野県のほか、南は鹿児島県・宮崎県でも落花生が使われる傾向にあるようだ。

一体なぜ、北海道や東北などの寒い地域で節分の豆まきに落花生が使われるのだろうか?南の鹿児島県・宮崎県の場合は?その意味や理由などについて簡単に考えてみた。

理由1:雪の上で見つけやすいから

節分の豆まきに落花生が使われる地域を上の図で見ると、北海道・東北地方などの雪が積もる地方に多く分布していることが分かる。

雪に埋もれる犬

写真:雪に埋もれる犬(出典:bokete)

雪の多い都道府県で落花生が定着している理由としては、「鬼は外!」の掛け声とともに外にまいた際、後で拾うときに、大豆よりも落花生の方が雪の上で見つけやすいという点がまず考えられる。

殻の状態であれば落花生の方が大きく、落下した落花生を見つけやすいし拾いやすい。これは「福は内!」で室内にまいた時にも当てはまるメリットだ。

雪のない地域でも、まいた後の落花生を見つけやすいのは変わらないので、将来の節分において、落花生を使う地域が他県にもジワジワと広がっていくことも十分に考えられる。

理由2:後で食べるときに安心

いうまでもなく、落花生はある程度堅い殻に覆われているので、中の実が地面や床などに直接触れることがない。

落花生 殻付き

節分の豆まきで撒かれた豆を後で拾って食べる際にも、落ちた所がドブや水たまりといった極端な場所でなければ、汚れた殻をむいてしまえば、綺麗な中身を安心して食べることができる。

撒いたその日に見つけられなかったとしても、落花生は殻の中で守られているので、場合によっては数日後でも中身を食べることができるかもしれない。

ただこの理由は、落花生を使う地域が北海道・東北地方などの寒い地方に偏在している理由を説明しきれないので、更に他の理由を考える必要がありそうだ。

理由3:寒いので脂質を摂取?

雪が積もる寒い地方で落花生が好まれる理由としては、落花生と大豆の栄養価の違い、特に脂質の量が一つの要因になっているのではないかと推測される。

脂質を多く含む食品

日本食品標準成分表2015年版の栄養成分表によれば、可食部100g当たりの乾燥した落花生と大豆の主な栄養価は次のとおり。

■大豆

カロリー:422kcal

たんぱく質:33.8g

脂質:19.7g

炭水化物:29.5g

■落花生

カロリー:562kcal

たんぱく質:25.4g

脂質:47.5g

炭水化物:18.8g

落花生と大豆の主な栄養価を比較してみると、「脂質」の項目では、大豆は19.7g、落花生が47.5gであり、落花生は大豆の倍以上の脂質を含んでいることが分かる。

エネルギーの炎を燃やす男

脂質は栄養素の中で最大のエネルギー源であり、雪が積もるような厳しい冬になる北海道や東北地方などでは、体温維持のため、大豆より多く脂質を含む落花生が選ばれているのかもしれない。

理由4:落花生の産地だから(鹿児島・宮崎)

鹿児島県・宮崎県において、節分の豆まきで落花生が使われる理由としては、両県が落花生の産地だからという説明が考えられる。

桜島 鹿児島県

写真:鹿児島県 桜島(出典:Wikipedia)

平成27年産の作物統計調査(政府統計)によれば、日本における落花生の収穫量(生産量)ランキング・ベストテン(1位から10位まで)は次のとおり。

千葉県 9,590トン
茨城県 1,510トン
神奈川県 285トン
栃木県 191トン
鹿児島県 129トン

宮崎県 81トン
山梨県 52トン
群馬県 50トン
長崎県 49トン
埼玉県 45トン

<資料:平成27年産 作物統計調査(政府統計)>

この収穫量(生産量)ランキングを見ると、鹿児島県・宮崎県はそれぞれベスト5、ベスト6にランクインしており、順位だけみれば、確かに全国的には落花生生産地の上位県といえそうだ。

しかし、その実際の収穫量を見てみると、ランキング1位の千葉県が8割近くの生産量を占めており、鹿児島県・宮崎県の生産量を合算しても、千葉県の10分の1にも満たない。

鹿児島県・宮崎県で落花生が使われる理由が生産地だからというのなら、圧倒的生産量を誇る千葉県でなぜ節分に落花生が使われないのかという疑問が生じてしまう。

落花生の生産地だからという理由だけでは、鹿児島県・宮崎県で落花生が使われるのを説明しきれないかもしれないが、重要な要因の一つであることは確かなように思われる。

まとめ

北海道・東北地方などの雪が積もる寒い地方では、節分の豆まきで、大豆ではなく落花生を用いる。

それは、積もった雪の上にまいた後で、見つけやすい、拾いやすい、中身が汚れないなどの実用的な理由が考えられる。

栄養価的にも落花生の方が大豆よりも脂質が高く、寒い地方で体温を上げるのに向いているのかもしれない。

気候の温暖な鹿児島県・宮崎県でも、節分で落花生が使われる。これは、落花生の産地であることが一つの要因と考えられるが、他にも理由がありそうだ。

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