イースター(復活祭)はいつ? 日付の決め方は?

キリスト教圏の年中行事・宗教行事

毎年春頃に行われるキリスト教の宗教行事と言えば、イエス・キリストの復活を記念するイースター(復活祭)がある。

イースター(復活祭)は、年によって日付が変わる移動祝日となっており、具体的には、「春分の日を過ぎた最初の満月の次の日曜日」(西方教会)がこれに該当する。

なお、ここでの「春分の日」は計算上3月21日に固定されており、さらに「最初の満月」も、実際の天文観測で得られる日付ではなく、キリスト教会による計算上の満月が用いられている。

近年のカレンダーでは、西方教会におけるイースター(復活祭)は、2016年3月27日、2017年4月16日、2018年4月1日、2019年4月21日、2020年4月12日。

なぜ「春分の日」が基準になるの?

新約聖書「ルカによる福音書」によれば、イエス・キリストが十字架にかけられた時期は、ユダヤ教の「過越(すぎこし)の祭」の頃、ユダヤ暦では春分を含む月(ニサンの月)であるとされている。

イースター(復活祭)は、十字架で処刑されたイエス・キリストがその3日後の日曜日に復活したことを記念する宗教行事であり、その起算日として、「過越(すぎこし)の祭」と関連が深い「春分の日」が用いられている。

ここで重要なのは、ユダヤ教の「過越(すぎこし)の祭」とイースター(復活祭)が近い時期になるということが、キリスト教において決して偶然の出来事ではないということだ。

この点を理解するには、旧約聖書「出エジプト記」の物語に触れていく必要がある。簡単なまとめは次のとおり。

過越の祭(すぎこしのまつり)とイースター

モーゼ(モーセ)がユダヤ人を率いてエジプトから脱出する物語が描かれる旧約聖書「出エジプト記 Book of Exodus」では、「過越(すぎこし)/ペサハ」と呼ばれるユダヤ教の祭りが記述されている。

モーゼのエジプト脱出を妨害しようとするエジプトに対して、神は「十の災い」をもたらしたが、ヘブライ人(ユダヤ人)達は、モーゼの指示で自分たちの家の戸口に生贄の羊の血で印をつけていたため、その災いを受けずに済んだという。

挿絵:「エジプト第七の災い」作:ジョン・マーティン(1824年)

災いを受けずに済んだ、つまり「過ぎ越した」ということで、「過越(すぎこし)の祭り」と呼ばれる。英語では「passover パスオーバー」。ユダヤ暦の春分を含む月(ニサンの月)に行われる。

生贄の羊の血によって神からの罰を過ぎ越したユダヤの民たち。これはまさに、イエス・キリストが生贄の子羊となり、彼の流した血によって人間が神からの罰を過ぎ越すことの象徴といえる。

ユダヤ教の「過越(すぎこし)の祭」とイースター(復活祭)が近い時期になるということは、キリスト教においてまさに必然とも言うべき密接度を有していたのである。

ちなみに、過越の祭りはヘブライ語で「ペサハ Pesach」。ロシア・ギリシャ・日本の正教会では復活大祭を「パスハ」と呼ぶが、このヘブライ語が語源となっている。イタリアやラテン語系では「パスカ Pascha」。

参考:イースター(復活祭)の語源・由来は?

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