
「カラスのいる麦畑」は、ポスト印象派の代表的画家ゴッホ(Vincent van Gogh/1853-1890)による1890年7月の作品。「カラスの群れ飛ぶ麦畑」、「黒い鳥のいる麦畑」との表記もある。
この作品は、ゴッホが拳銃自殺を図った1890年7月に完成されたもので、「巨匠最後の作品」と位置づけられることがある。
極端な例では、1956年のハリウッド映画『炎の人ゴッホ』のラストシーンで、カーク・ダグラス演じるゴッホがカラスのいる麦畑でこの絵を描き上げ、その場所で拳銃(猟銃)自殺を遂げる脚色もなされている。
この映画は世界中で大ヒットし、その影響で「ゴッホが死の直前に描いた作品である」という俗説まで生まれた。
確かに、「麦刈り」は、聖書においてしばしば人の死の象徴として語られて、ゴッホも死のイメージとして好んで麦畑の主題を描いている。
しかも、黒い鳥がカラスだとすれば、「不吉な死」を表した絵ということになり、非業の死を遂げた芸術家に相応しい主題である。
しかし実際には、この作品はゴッホが亡くなる2週間程前(1890年7月上旬)には描き上げられていたようで、映画の演出のように「掻き上げたその場で自殺」のようなイメージではないようだ。
ただ、現代でもこの絵は展覧会や画集の最後に置かれ、「厳密には絶筆ではないが」と断った上で、ゴッホの制作活動を締めくくるに相応しい名作として、特に印象的に取り上げられている。
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