朝花節 あさばなぶし

鹿児島県奄美大島に伝わる唄遊びの挨拶唄

『朝花節(あさばなぶし)』は、鹿児島県奄美大島に伝わる定番の民謡・島唄。『朝ばな節』、『あさばな節』などの表記も見られる。

奄美の島唄は「朝ばなに始まり、朝ばなに終わる」とも言われ、奄美の唄遊びでは挨拶唄・喉慣らしとして最初に歌われることが多い。

宴会の締めや別れの場面で唄われる場合は特に「送り朝花」「別れ朝花」と呼ばれる。

奄美大島マネン崎

写真:奄美大島マネン崎(出典:Wikipedia「奄美大島」)

一口に『朝花節』といっても様々なバリエーションがあり、即興に近い形で歌われることが多いため、無数の歌詞や節回しが存在する。囃子ことばも多種多様。

大きく分けて、祝宴の席で唄われる『長朝花節(長あさばな節)』、唄遊びで唄われる短い『朝花節(はやり唄)』、太鼓が加わってテンポが速い『一切り(ちゅっきゃり)朝花節』の三つに分類できる。

2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん(せごどん)」では、奄美大島編でこの『朝花節』がオリジナルの歌詞で歌われ注目を集めた。

【YouTube】城 南海『朝花節』奄美民謡

よく唄われる朝花節

稀(ま)れ稀れ 汝(な)きゃ拝(うが)で
今(なま)汝きゃ拝むば にゃ何時(いち)頃拝むかい

意味: 久しぶりに貴方とお会いしましたが、今度は何時また会えるでしょうか

いもしゃん人(ちゅ)ど 真実あらな
石原(いしわら)踏(く)みきち
いもしゃん人ど 真実あらな

意味:ここにいらしてくださった人こそ真実のある人です。石原を踏み越え、こうしていらした下さった人こそ。

拝(うが)まらん人(ちゅ)ど 拝で知りゅり
神ぬ引き合わせに 拝まらん人ど 拝で知りゅり

意味:会ったことのない人も、神様の引き合わせによって、こうしてお会いして知り合えました。

汝きゃが先々 果報がなくとぅ あらしたぼれ

意味:皆様の未来にたくさんの幸せが訪れますように

その他の歌詞の一例

ハレーイ 朝花はやり節
(ヨイサ ヨイサ ヨハレ ヨイヨイ)
ハレーイ 唄ぬはじまりや
朝花はやり節

意味:朝花はやり節。歌の始まりは、朝花はやり節だ。

ハレーイ 突然出ぃてぃ はばかりながら
(イチヤヌカラン ナマヌカランヨ)
ハレーイ ご免下さりませ
此ぬ家ぬ 御亭主様

意味:突然伺いまして御免ください、この家の御主人様。

ハレーイ 御来ちゃん人どぅ 真実やらんな
(ナチカミクイヌ ナマウガダンヨー)
ハレーイ 石原さ踏み来ち ハレ
御来ちゃん人どぅ 真実やらんな

意味:お出でになった方こそが、真心がある。 石ころだらけの原を踏み越えいらした方こそ、真心がある。

<引用:鹿児島県大島郡瀬戸内町役場Webサイト>

関連ページ

九州の有名な民謡・童謡
『炭坑節』、『黒田節』、『おてもやん』など、九州地方7県に関連する有名な民謡・童謡・祭りの歌まとめ
都道府県別の民謡・ご当地ソング
「会津磐梯山」、「草津節」、「ソーラン節」、「ちゃっきり節」など、日本全国各地の地元に根付いた地方の民謡、地名の入った歌