雪祭り 歌詞と解説 NHKみんなのうた

郵便屋さんがやってきた 花の便りはまだですか

『雪祭り』は、NHK「みんなのうた」で1984年12月に初回放送された子供向けの歌。作詞・作曲は、『山口さんちのツトム君』を手掛けた「みなみらんぼう」氏。

さっぽろ雪まつり

歌詞では、雪遊びに興じる子供たちの元気な姿を描く一方で、春を待ち望む思いが切なく歌い上げられている。

楽曲全体のリズムは、『山口さんちのツトム君』と同様に、1950年代に世界的に流行したブラジルのダンス音楽「バイヨン」のリズムと似ている。アニメ「サザエさん」エンディング曲も同じ。

写真:さっぽろ雪まつり(2008年/出典:Wikipedia)

【YouTube】 雪祭り

歌詞

木枯らしの届かない
雪の中 あなほって
こどもの 雪祭り
もち食って 豆食って

汗ばむほどに さわぎたて
春はまだかと 笛吹けば
おどり出す 雪うさぎ
春をすぐつれて来い

神だなに ねこやなぎ
火をかこみ なべかこみ
こどもの 雪祭り
山おろし 逃げてゆく

郵便屋さんが やって来た
花の便りは まだですか
風花に キラキラと
春がほらのぞいてる

お正月の繭玉飾り

「神棚に猫柳(ネコヤナギ)」という歌詞から、この歌が描写している時期はお正月を過ぎたあたり(小正月)と推測される。

正月の繭玉飾りでは、繭(まゆ)に見立てた団子を作り、ネコヤナギやケヤキ、ミズキなどの枝にさして、神棚や母屋の入り口などに飾られる。

ネコヤナギ

写真:ネコヤナギ(出典:Wikipedia)

ちなみに、雪ウサギ(雪像)の目に用いられる赤い実の南天(ナンテン)は、「難転」即ち「難を転ずる」として縁起の良い木とされ、正月飾りにも用いられる。

アニメーションは『こだぬきポンポ』の堀口忠彦氏

『雪祭り』の味わい深いアニメーションを担当したのは、『こだぬきポンポ』、『ふたりは80才』、『コンピューターおばあちゃん』など、数々のみんなのうたアニメーションを手掛けた堀口忠彦氏。

堀口氏による優しい和のテイストは、『雪祭り』の楽曲にとてもマッチして素晴らしいの一言。特に間奏で雪ウサギが群れ飛ぶアニメーションはとても幻想的だ。郵便屋さんのニヤリとした表情もどこか非現実的な印象で、民話や童話のような異世界感すら漂っている。

80年代のシンセサイザー・アレンジ

『雪祭り』で雪ウサギが群れ飛ぶ間奏部で流れるシンセサイザーのアレンジが、今聞くとそのレトロな感じが味わい深く、幻想的な響きさえ感じられる。

シンセサイザーによる当時の有名な曲といえば、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)による1979年の作品『RYDEEN ライディーン』や、喜多郎『シルクロード』などが定番だ。

1970年代後半の米国ディズニーランドでは、メインストリートで夜に行われていたエレクトリカル・パレードでシンセサイザーを用いたテーマ曲が流れていた。

『雪祭り』がNHKみんなのうたで放送される5か月前の1984年7月には、アメリカで映画『ネバーエンディング・ストーリー The NeverEnding Story』が公開され、主題歌にシンセサイザーを用いたテーマ曲が大ヒットした。

ネバーエンディングストーリー Blu-ray

写真:ネバーエンディングストーリー Blu-ray

その1年前の1983年には、日本で映画『南極物語』が公開され、作曲家ヴァンゲリスのシンセサイザーによるテーマ曲『Theme from Anterctica』が映画のヒットに大きく貢献した。

『雪祭り』にはこうした80年代シンセ・ブームのレトロなテイストが浸透しており、楽曲の味わい深さに大きな役割を果たしているように思われる。

ちなみに、『雪祭り』の編曲者は映画音楽家の石原 眞治氏。冒頭のイントロもよく聞くと、 1984年6月公開の映画「ゴーストバスターズ」テーマ曲のイントロに似ている。

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