トラン・ブーラン

インドネシア愛唱歌

『トラン・ブーラン Terang Bulan(Boelan)』は、19世紀前半頃にフランスの詩人ピエール=ジャン・ド・ベランジェ(Pierre-Jean de Béranger/1780-1857)が作曲したとされる楽曲。

曲名の意味は「明るい月」。フランス領インドシナを中心に東南アジアで広まった。マレーシアでは新たな歌詞がつけられ、マレーシア国歌『Negaraku』として公式に歌われている。

インドネシア語、オランダ語など様々な歌詞が存在するが、オリジナルと思われるフランス語の歌詞は既に詳細不明となっているようだ。

歌詞の一例・日本語訳(意訳)

Terang bulan, terang di pinggir kali
Buaya timbul disangkalah mati
Jangan percaya mulutnya lelaki
Berani sumpah 'tapi takut mati

月明かりが川面にゆらめき
クロコダイルが水面に浮かぶ
男の言葉は信用するな
約束はするが死を恐れるからだ

【YouTube】Terang Bulan vs Negaraku(マレーシア国歌との比較動画)

インドネシアの4行詩について

インドネシア民謡『ラサ・サヤン Rasa Sayang』のページでも説明したが、インドネシアにおける4行詩は、「パントン(パントゥン) Pantun」と呼ばれる形式をとっている。

パントン(パントゥン)では、1行目と3行目、2行目と4行目がそれぞれ韻を踏む。一例としてこのページに掲載した『トラン・ブーラン Terang Bulan』の歌詞では、すべての行が韻を踏んでいる。

前半2行と後半2行をみると、歌詞の内容にまったく関連性がないが、これもパントン(パントゥン)の特徴の一つ。前半2行は韻を踏むための意味のない文章が置かれることが多く、後半2行で生活の知恵や教訓などが歌い込まれる。

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