ここ北極星のもとに
Täällä Pohjantähden Alla

フィンランド民謡・伝承曲

フィンランド民謡・歌謡を集めたCD「フィンランド民謡の花束」の中から、『ここ北極星のもとに Täällä Pohjantähden Alla』をご紹介したい。

CDの小冊子には日本語訳された歌詞が掲載されるのみで、『ここ北極星のもとに』の詳細については一切触れられていなかった。

ネットで情報を補足してみると、どうやらメロディは何らかのフィンランド民謡・伝承曲で、歌詞は19世紀前半に活躍したフィンランドの詩人ヤーコ・ユテイニ(Jaakko Juteini/1781-1855)の作品が転用されているとのこと。

ヤーコ・ユテイニが20代の頃には、ナポレオンとの密約でロシアがスウェーデンに侵攻し、スウェーデンからフィンランドの割譲を受けるという歴史的な大事件が起きている(ロシア支配下のフィンランド大公国が成立)。

『ここ北極星のもとに』の歌詞では、「別の故郷」という一つの大きなテーマが歌われているが、これはロシア帝国に組み込まれてしまった当時のフィンランドの嘆きが詩的に暗示されているようにも感じられる(自治権はある程度認められていた)。

【YouTube】 カンドミノ合唱団『ここ北極星のもとに』

歌詞(フィンランド語)・日本語訳

Täällä pohjantähden alla on nyt kotomaamme
Mutta tähden tuolla puolen toisen kodon saamme

ここ北極星のもとに
今 我が故郷がある
でもその星の向こう側には
別の我が家があるのだろうか

Täällä on kuin kukkasella aina lyhyt meillä
Siellä ilo loppumaton niin kuin enkeleillä

ここでは花の一生のように
時が足早に過ぎ去る
向こうには限りない楽しみが
あたかも天使の時のような

Täällä sydän huokailee ja itku silmän täyttää
Siellä sydän iloitsen ja silmä riemun nayttää

ここでは心が打ちひしがれる
目には涙があふれる
向こうでは心が躍り
目は喜びで輝いている

Sinne toivonsiivillä sydän pieni lennä
Siellä kun on kotomaani sinne tahdon mennä

もしも翼があったなら
私の心は彼の地へ飛んでゆきたい
そこに我が家があるのなら
私はそこへ行きたい

<日本語訳引用:フィンランド民謡の花束 小冊子より>

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