ハイドン トランペット協奏曲 変ホ長調

発明された鍵盤付きトランペットのために作曲

ハイドン『トランペット協奏曲 変ホ長調』が作曲される以前のトランペットは、現代のピストンバルブやロータリーバルブのような管長を変化させる機構がなかった。

いわゆるナチュラル・トランペットが主流の時代で、唇の圧力を変えて自然倍音を出すしかなく、楽曲では非常に高い音域が中心となっていた(例えばバッハ『ブランデンブルク協奏曲 第2番』など)。

そこで発明されたのが、フルートのように音孔を穿ち鍵盤が取り付けられた有鍵トランペット(英:The keyed trumpet/独:Klappentrompete)。写真は復刻版の演奏風景(出典:YouTube動画)。

金属の鍵盤を押すと、音孔のフタが開いて管長が変わり音域も変化する。この有鍵トランペットにより、すべての音域で半音階の演奏が可能となった。

発明者は、オーストリアのトランペット奏者アントン・ヴァイディンガー(Anton Weidinger/1766–1852)。ヴァイディンガーはこの有鍵トランペットのために友人ハイドンとフンメルに作曲を依頼したという。

【試聴】有鍵トランペット ハイドン『トランペット協奏曲』第3楽章

ハイドン最後の協奏曲 100年忘れられた名曲

ハイドンが『トランペット協奏曲 変ホ長調』を作曲した1796年は、交響曲『ロンドン』、『驚愕』などで大成功を収めたロンドン訪問からオーストリアのウィーンに帰ってきた頃。

ハイドンはウィーンで『天地創造』、『四季』などのオラトリオの大作に取り組んでおり、還暦を過ぎ持病も悪化していたハイドンにとって『トランペット協奏曲』は最後の協奏曲となった。

1800年3月にウィーンで初演された『トランペット協奏曲』だったが、当時の評価はあまり芳しいものではなく、同曲はそのまま忘れ去られてしまったという。

出版されたのは100年以上経過した1929年になってのこと。もちろんその頃にはすでにバルブ機構を備えた現代的なトランペットが定着しており、ハイドン『トランペット協奏曲』は今日までトランペット奏者の主要レパートリーとして広く受け継がれている。

【試聴】第1楽章 ソリスト:アリソン・バルサム(Alison Balsom/1978-)

【試聴】第3楽章 Tine Thing Helseth

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