春の祭典 ストラヴィンスキー

ディズニーのアニメ映画「ファンタジア」でも使われたバレエ音楽

『春の祭典』は、ロシアの作曲家ストラヴィンスキーにより1913年に初演されたバレエ音楽。複数の改訂版が存在し、今日では主に1967年版が演奏される。

ディズニーのアニメ映画「ファンタジア」(1940年)でも使われ、『春の祭典』の曲に合わせて、地球の誕生から恐竜の絶滅までが描かれた。

ストラヴィンスキーの家系はリトアニア大公国のポーランド系小貴族だったようで、『春の祭典』にはいくつかのリトアニア民謡が使われている(詳細は後述)。

第1部「大地の礼賛」序章では、リトアニア民謡『私の妹よ』Tu mano seserėleをベースにしたファゴットの独奏が冒頭で登場する。

写真:ロシアの春を迎えるお祭り「マースレニツァ」(出典:カフェトーク)

【YouTube】スヴェトラーノフ指揮:『春の祭典』

【YouTube】バレエ《春の祭典》

あらすじ・ストーリー

ストラヴィンスキー『春の祭典』では、キリスト教化される前のロシアの原始宗教の世界が描写される。

春を迎えた大地への礼賛、太陽神の怒り、そして一人の乙女が太陽神の生贄となる。

ストラヴィンスキーの家系

ウィキペディアの解説によれば、ストラヴィンスキーの家系はリトアニア大公国のポーランド系小貴族だったようだ。

ストラヴィンスキー家は16世紀末にさかのぼるポーランド系小貴族で、伝統的にその領地はリトアニア大公国の中にあったが、徐々に没落していった

リトアニア大公国は、13世紀から16世紀にかけてベラルーシ周辺を支配した強国。15世紀頃からポーランドとの一体化が進んでいった。

16世紀には同君連合ポーランド・リトアニア共和国が成立し、後にロシア帝国に併合された。挿絵は、1648年時点ののポーランド・リトアニア共和国(ピンク色の部分/出典:Wikipedia)。バルト海から黒海方面まで広大な領地を有していた。

リトアニア民謡について

神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会における演目解説によれば、ストラヴィンスキー『春の祭典』には、ポーランドの司祭ユシュケヴィチが収集した複数のリトアニア⺠謡が用いられているという。

R.Turuskin の研究によれば、1900 年に出版された A.ユシュケヴィチ蒐集の⺠謡集から5つの歌が借用されていて、たとえば第1曲「導入」の冒頭にファゴットが吹く神秘的な旋律や、第2曲「春の兆し」の途中、ファゴット2本が奇妙なアクセントをつけて吹くシ♭の音の同音反復ではじまる主題、第3曲「誘拐の遊戯」の最初にフルート、クラリネット、トランペットが吹くすばやい主旋律、そして第4曲「春のロンド」でクラリネットが提示する優しいロンド主題も、じつは⺠謡を変形したモチーフでできている。

<解説 音楽学者 白石美雪>

第1部序章のファゴットについては、上述のとおりリトアニア民謡『私の妹よ』(Tu mano seserėle)であることが分かっているが、あとの数曲については詳細は不明。

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